第756話:スゥジ・チャム~壊れるからだ~

「あ、折れちゃった」

 ドアを開けるパネルを操作しようとしてぺきりと折れた指を見る。

「最近は体のあちこちがもろくなってきてるなぁ、そろそろかなぁ」

 折れた指はとりあえず固定して、別の指で折らないようにドアを開ける。


 最近からだのメンテナンスを怠けてきたからなぁ、からだのいろいろな場所がボロボロだ。

 最近壊れたからだの部位は、第三左肩、第一右脛、第五右前腕、第六右前腕、そして今折れた右大四手二指。

 いろいろなところが壊れてしまった。


 いっぱいあるから壊れてもあんまり問題はないけど、落としてくるとちょっと困る。

 直そうとおもったらやっぱりそろってた方が楽だし、足りないとお医者さんが少し嫌味っぽくなるんだ。


「自分の体を治しに来るのに、なくしてくるのは君ぐらいのものだよ。と言いたいところだが、君たちの種族っていうのはどうしてそう、自分の体に関心がないんだろうね」

 とりあえず直しに私たちのからだを直すのを専門にしているお医者さんのところに来た。

「まぁ、たくさんあるので」

「たくさんあるからって無駄にするんじゃあないよ、あーもう、どっちが第五でどっちが第六の前腕かわからんだろうが、ちゃんと取れたら取れた時にラベルを貼ってだな」

「いやぁ、いくつかはラベルを張ったんですけどなくしちゃって。貼るラベルの方を」

「結局腕も足りてないじゃないか、もしかして第八前腕が両方なくなってるのも気付いてないね?」

「え? あらほんとう」

 言われてみてようやく気付く。

「本当にどうして君たちはそう自分の体に関心がないんだ」

「たくさんあるので……」

「たくさんあるからってメンテをしなかった結果腕を全部なくして死んだ人もいるんだよ君達、本当に気を付けなよ?」

「まぁ、また時期を見て来ることにします」

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