第736話:ニハイル・シムスト~世界を変えるということ~

 では、自己紹介からお願いします

「ニハイル、ニハイル・シムストという」

 ニハイルさんはヨハムミという世界の出身でニハイルシステムを作ったことで有名な、近代の偉人として教科書にも載っているそうです。

 ニハイルさんは、なぜこのようなシステムを開発されたのですか?

「必要に迫られたから……、いや必要だと思ったからかな」

 その2つの言い方、違いがわからないのですが。

「ん、そうかい? そうだな、無くても良かった。困らなかったんだけどさ、あった方が僕としては良かったんだよ、それはね」

 それは?

「それがそういうものだったって話さ、元々無かったものだからさ、無くても困らなかった。だけどあった方が良くなるし、あった方が良くなることに気づいたら、無いと困るなって思うようになっちゃったってわけ。あるだろ?昔はなかったのに気づいたら生活に根付いてるものってさ」

 ニハイルさんはそれを1人先に気づいたんですね。

「そうそう、気づいたら無い世界に耐えられるわけ無いだろ? それで、試行錯誤してさ、なんとか試作を重ねたって訳」

 しかしニハイルさんはその途中で亡くなられてしまったんですよね。

「うん、そうなんだよね。でも僕があれの開発者として名が残ったのは嬉しいな」

 はい、ニハイルさんの残した研究を基礎として完成して、世界を変えた発明だと言われています。

「世界を変えた発明なんて言われてるのかい? どんな感じになってるか聞いてもいいかな」

 はい、資料にまとめてあるのでこちらをご覧ください。

「ふーん。なんだ、世界はなんにも変わってなかったね。僕の想定内じゃないか」

 ニハイルさんは「つまらないな」と吐き捨てるように言って席を立ち、インタビューはここまでとなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る