第722話:ノイラン-イグ〜耳に水〜
寝耳に水が入った。
寝耳に水な知らせではない、物理的に寝耳に水を注がれた。
「なぜこんなことを?」
「寝耳に水と言うように、実際に注がれたらどんな反応をするかと気になって」
「驚いたね、耳に水が入ったことよりも無表情でピッチャーを構えてる君に心底驚いたね」
「なるほど……、やはり諺の通り驚くのか」
「ひとつ言っておこう、寝起きどっきりは何やっても大体驚く」
というのが今朝の出来事、
「あークソ、朝の水がまだ抜けねぇ」
トントンと首の後ろを叩きながら耳の中に溜まってしまった水をなんとか抜こうと試みるが、全然抜けない。
鼻を押さえて反対側の耳を塞いで力を入れる方法は鼓膜を痛めそうで怖いし、吸引機も同様で、ただ傾けたり、こよりを入れたりして1日が終わろうとしていた。
耳に水が入ったまま寝るのは気持ち悪いが、そちら側を下にして寝れば寝てる間に抜けてくれたりするだろう。
「なぜ、私の枕元に掃除機が置いてあるか聞いても?」
「昨日入れた水を抜こうかと思ってな、あとは寝起きどっきりだ」
「その結果、」
「耳から血が出たな、水だけが出るものだと思ったが」
「そうだな、ちょっと病院に付き合ってもらおうか」
朝激痛で起きたら左の耳が聞こえなくなってしまうとは、寝起きどっきりは恐ろしいな。
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