第609話:ヤルク・ナマ〜パーティーパーティー!〜

 軽快な音楽が聞こえる。

 強い光で色とりどりに照らされたこのホールはまさにパーティー会場。

 ここは常にパーティーをしている、文字通りの連日連夜、参加は自由、入場無料、食べ放題飲み放題とパーティー好きには当然、単に食券を換金したりしてしまったようなやつにも人気がある。一応弁明しておくと、僕はさっき挙げた例ではパーティー好きでここにいる方。

 とまぁ、話の前置きはこんなものにして、今のここは僕しかいない。

 できた当時は話題にもなったし流行って感じもしていたけど、今ではほとんど人がいない。

 流行は終わり、人が減り、人が減るにつれてパーティーは盛り下がり、今ではこの有り様というわけだ。

 会場はあっても人がいなければそれはパーティーではないんじゃないか。

 しかしパーティー会場は無人でもパーティー会場。

 無人のパーティーはパーティーでない……。

 人のいないパーティー会場でパーティー?パーティーとはいったい……。

 これは哲学だ、パーティー哲学。


 ホールの隅にあるスイッチ群を操作する。

 会場にたくさんの人影が現れ、ざわめきが生まれた。

 僕はパーティーが好きでここに来る。

 ここは何を想定していたのか、仮想の人影を投影し、ざわめきをBGMに重ねてあたかも本当にパーティーが行われているかのようにできる機能があるんだ。

 雰囲気パーティーでも楽しんでいればまたそのうちに、ここに活気が戻る日も来るだろう。

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