第610話:ハイム・ライツ〜ルート迷子〜
どこへ向かっているんだろう。
ハンドルを握りながら思う。
普段使っている道を1つ逸れて、知らない道を車で走りながら思う。
1つ道をそれたぐらいなんとかなるだろうと事態を楽観視、そもそも問題とも思っていなかったことが問題だったか。
まさか、この道が全然分岐せずに大きくカーブを描いているなんて思わなかったんだ。
できればUターンして来た道を戻りたいんだけど、回りに車が多くてそれもできない。
まぁ、しばらく進めばなんとかなるだろう。
いや、これはさすがにまずい、進む先には高速射出レールが見える。
つまりは超遠距離移動用の道だったということだ。
さすがにどこまで飛ぶかもわからずに高速射出レールには乗りたくない、しかし抜ける道は無い。
じりじりと後ろから圧されるように進んでいると、タイヤがガッチリ捕まれ、射出用意というメッセージが表示された。
まだ大丈夫、まだ大丈夫だ、基本的にこれは往復用の設備、行ったら帰ってこれる。
向こうでどうやれば速やかに帰ることができるか試算しながら射出を待つ。
ピーという発射音が聞こえ少窓の外の景色が伸び、少しの間をおいて車は道路に戻った。
少し走って見て気づいた、ここは知らない町だけど、少し行けば有名な観光地じゃないか。
今から観光するのは遅い時間だが、せっかくここまで来たんだ、少し行って観光していこう。
道を間違えるのもたまには悪くないものだ。
帰り道を盛大に間違え、帰ることができたのは翌朝になってのことだった……
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