第593話:ルーニード・モンス〜キューブ生命体〜
カクカクの山、否大小様々な立方体が積み重なってできた構造物。
これが日毎に姿を変えるらしく、不審がった近隣住民から調査を依頼された。
まぁ大抵こういう時はそういう生態の生物であることが多い。
動く系の不審物はだいたい生物、特に誰も設置した心当たりがないとなると生物以外の可能性はほとんど無い。
調査の方法も概ね小期間の観察と推察で終わるようなものだ。
以来を受けた段階で既にそういう生態をもつ生物である可能性は伝えたが、危険はないのかだとか放置しても良いのか、もしくは何らかに利用できるのかという調査依頼に変わってしまった。
まぁ、新種とかであれば申請するし楽な仕事だ。
なにはともあれ観察開始。
手頃なキューブを1つ、手持ちの箱にいれて隔離、大きな山からは距離をとる。
定点カメラを設置したらあとは暇を潰しつつ、適当にカメラの映像を確認したりして過ごす。
そんな感じで1日目の夜を迎えて普通に寝て朝が来た。
カメラの映像を確認したところ、確かに夜暗いうちに山は蠢き、朝には形が変わっていた。
なるほど確かに知らなければ奇妙だ。
まだはっきりと原因はわからんからなんとも言えんが、この感じだと同一生物の集合体だな。
また、隔離しておいた箱は箱にぴったりになるような感じでキューブが増えており、分裂したのか、排泄なのかよくわからん。
そして更に数日が過ぎて、わかったあれらの生態のまとめ。
キューブ一つ一つが個々の生物であること、死んでいる(生命体でない)個体も多々あること。
昼間は一切動かないこと。
夜は遮るものに向かって延びること。
朝になった時点で立方体になるように分裂し、1つの立方体以外はそれ以降動かないこと。これは増殖行為であるためと考えられる。
まとめると閉鎖空間を埋め尽くすように増えるキューブ生命体だな。
放っておくと、この世界の性質上無限に死んでいるキューブを作りそうだが、囲ってしまえば脅威にはならなさそうだ。
有効利用の方法は誰か他の奴が考えればいいか。
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