第577話:リクリロ・ロアⅡ~ふと正気に戻る~
ふとした時にふと気付くことがある。
僕は本当に狂っているのだと。
いや、僕は自分が狂人であることを̪知っているし、それでいいとしてきた。
だけど、たまに、ほんのたまにだけど、そう、自分と他人の感覚の差を知覚したときにそれは訪れるのだけど「ああ、僕は本当に他人と違うんだ」という言うなればさみしさのようなものを感じるんだ。
その時ばかりは、僕も正気に戻っているし普段の自分と普通の人間の感覚の差がよくわかる。
普段の僕は、僕であるはずなのに、正気の僕には理解ができない。
いや、普段の僕も狂っていることを知っているだけで理解はしていないんだろう。
普段の僕が狂っていて正気の僕はく狂っていないというのも変な話だ。
もしかしたら、僕としては狂っている方が正常で正気に戻っている方が狂っているのかもしれない。
正気といっても僕が想像する他人の感覚に支配されているというだけで、僕が想像する他人の感覚というものが正しい保証もない。
僕が、正気になったときに感じる寂しさの正体はきっと、そういうことに起因しているんだ。
僕だけが感じる恐怖があり、僕だけが感じる幸せがある。
それが僕の狂気の根源なんだろうけど、誰かの幸せの基準で自分の幸せを測ろうとは思わないからそれはいい、それはいいんだ、そこに寂しさはない、あるわけが無い。
僕のこの寂しさは、きっと、僕の恐怖も幸せも、誰にも理解されないということなんだ……。
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