第561話:サーノラ-ムノル〜記憶がとんだ〜

「あれ?」

 今まで、何をしてたんだっけ?

 今朝起きて、今日は予備がなくなったペーパーを買いにいくという予定を元についでに何か買うものはないかと計画を立てていた所までは覚えてる。

 今はそれから6時間後で特に監禁されてるとかはなく、普通に家から大して遠くない街中で気がついた。

 目が覚めたとかそういう感じではなく、今までは普通に記憶を保ったまま行動してて、朝から今までの記憶が消えたと考えるのが自然だ。

 何かおかしなことに巻き込まれて、そのあれやこれやなんやかんやで知られるとまずいことを知ってしまい、記憶操作をされてここに

 放り出されたんじゃないか。

 そのなんやかんやあれやこれやかくかくしかじかは一切すべてを忘れてしまったので何一つ思い出すことはできないのだが。

 帰りがてら現在の状態から、ひとつひとつ可能性を探っていこう。


 まず、手持ちの品はペーパーがいくつか、缶詰めがいくつか、はさみ。

 記憶を手繰ると、ペーパーは買う予定があった、缶詰めとかもペーパーと一緒に買ったのだろう。

 はさみは、特に家の奴が壊れてるとかはなかった気がする。

 はさみが怪しい。

 このはさみ、観察しても特に怪しいところはない。

 普通の市販されているよく切れるはさみだ。

 さすがに缶詰めを切ったりはできないが。


 考えていたら家についた。

 家の中ももしかしたら荒れているかもしれない。

 家を出る前から記憶が飛んでいるのだしその可能性は十分にある。

 覚悟してドアを開けると特に変わったところはなく、台所につぶれた缶詰めと折れたはさみがあるだけだった。


 どうやら、病院へ行った方がいいというだけの話のようだ。

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