第557話:ラローソ~崩れるブロック~

 パリパリ……

 変な音が聞こえた。

 割れるような、軋むような、剥がれるような?

 そんな、普段聞き覚えのない奇妙な音だ。

 音のした方を見ると、空間が割れていた。

 表現上の割れていたと言ってはいるが、ガラスに入ったヒビではなく、積まれたブロックが崩れるような、そんな感じだ。

 もう一度言うが、空間が割れているのだ。

 この辺の空間はブロックが積まれたような構成をしているらしい。

 それが崩れている。

 非常にまずいのでは。


 悠長に観察している場合ではないと慌てて逃げてきて、後ろを見るとどんどん空間が崩れていくのが見えた。

 崩壊の速度は遅く、ここまで逃げれば安心そうだ。

 というわけで腰を据えて観察する。


 先ほど現場で観察して得た情報を思い返すと空間を構成するブロックの大きさは半クロンぐらいの立方体。

 崩壊時に空間ブロック同士が重なり合ったりと相互干渉しないタイプ、もしかしたらもう一つ二つ上の次元で観測したら重なり合っていないのかもしれないが、少なくとも現座標から観察できるかぎりでは重なりあうことがわかる。

 というか、そうでもしないとぎっしり積まれた空間が崩れるってことはないだろう。

 ブロックを通してみる向こう側は歪んで見える。

 空気しかないところのブロックは透明な水晶キューブが崩れているようにも見える。

 ブロックが抜けたところは上位空間構成に従うらしく、無が配置されているように見える。

 そのうち、またどこかで死んだ世界が新しくこの辺りに嵌ったりするんだろう。

 むしろ、他の世界が割り込んで転生してきてそれによって圧迫された比較的壊れやすかったこのあたりの空間が崩れたという見方もできる。

 周囲への影響をもう少しだけ観察してから適当にレポートをまとめて報告してこよう。

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