第558話:カシファン=マナーシアⅦ~名言のあれこれ~

「聞いてくれる?」

「聞かない」

「実はさっきね、とーってもいいことを聞いてね」

「聞いてないね?」

「今は私の話すターンだから、反論はあとでね」

「いいわ、あとでね。それで、どんな話を聞いたの?」

「ええっとね、名言の話なんだけど」

「名言、へぇ……名言ねぇ?」

「そう、名言」

「それは、明日やろうは馬鹿野郎とかそういう類の言葉の話?」

「まぁ、それを他の名言と同列に語るのはどうかと思うけど、概ねそういう話」

「続けて」

「さっきは聞かないとか言ってた割に食いついてくるね」

「話題の内容が明確なら聞くわ、内容も明かさずに選択を迫るのをやめなさい」

「ふーん、次からは気を付けるよ、覚えてたらだけど」

「あまた、前にも同じこと言ってたわよ。それで、名言がなに?」

「そうそう、名言ってやっぱり異世界のものとかも興味あるじゃない?」

「自分の世界で有名な奴以外にも面白い名言はあるわね」

「そうそう、それの中に「他人の名言を引用することが名言を放つということではない」って言葉があってね?」

「知ってるわ、トールポネスタの言葉ね」

「なんだ知ってるのか」

「当たり前でしょう?そういう強い言葉はよく出てくるもの、それで?」

「それでね、よくカシファンはそういういろんなところから引用してきた名言とか使ってるじゃない?」

「そうね、私は他人の言葉ばかり借りてしゃべる中身のないやつだと、あなたも借りてきた言葉で私をバカにしたいということでいい?」

「え、そういうことじゃないんだけど……」

「じゃあ、名言つながりで私からも一つ教えてあげるわ、「名言とは、正しい言葉ではない、都合がいい言葉のことだ」どう?」

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