第550話:ブアラ-ジャガル~解像度が低い世界~
この街は解像度が低い。
この感覚は来てみないとわからないと思うけど、解像度が低いと言う他ない。
僕は一応観察力が自慢ではあるのだけど、この街では役に立たないかもしれないという雰囲気がある。
解像度が低いので表現する言葉が少ないのだが、簡単に、率直に言ってしまえば少ない情報量で表現が可能だ。
建物ごとに壁の色は単色、しかも赤とか緑とか青とか黄色とかそういう表現が簡単な色ばかりの4色だけで、大体が四角く窓の位置は共通して一つ。
三角屋根のような物はなく、曲線もない構成だ。
解像度が低い街とはそういうこと、同じ構成を持つ建物も多くあり、区別がつかない。
その上道のつながりも単調だ。
絶対に斜めの道はないし、当然のように立体交差なども存在しない。
1区画には決まって2×4の8棟があり、その中の組み合わせぐらいしか景色で違うところは存在しない。
つまり、8^4の情報しか持たない1区画がたくさん均等に並んでいるだけということだ。
聞いた話によればどの家も家具配置は同じになっているらしく、ここまで解像度が低いとデータに起こすのも楽だ。
むしろ、そういう目的で作られたんじゃないかと思うぐらい街を表現する情報量が少ない。
そういう目的でとは言ったが、情報量を削減した街を作る理由にまったく思い当たらない。
最後に、道路の色は黒一色で空は白い。
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