第546話:パース=ノルノⅣ~レーザー加工機~
「お、ナットか。珍しいもんを使ってるじゃねーか」
「おやー、ノルノさん。こんなところで合うとはー、奇遇というやつですねー。おやつですかー?」
「おやつ……?いや、単純にここの工作機械を使いに来ただけだが」
この部屋はいろいろな工作機械が置いてあって、結構作業に使うんだ。
まぁ、ナットは自分の工房で作業することが多くてここに来ることは稀で、だからこそ珍しいことなんだが。
「レーザー加工機で何やってんだ?」
「お菓子を焼いていますのでー」
「はぁ?」
今こいつなんて言った?
「お菓子ですよー」
「いやそいつはおかしいだろ」
「おかしいですか?」
「いやそらおかしいだろ、なんでレーザー加工機で菓子焼いてんだよ!」
「最近気づいたんですけどねー、レーザー加工機ってーお菓子を作るのに向いてるんですよー」
「全然言ってる意味が分からんのだが」
「実はですねー、レーザー加工機はですねー、三次元的に好きな座標を好きな熱量で加熱できるのでー、とても便利なんですよねー」
「はぁーなるほどなぁ。そんなこと考えたこともなかったぜ」
確かに理屈を説明されればわかる。わかるだけでやる気にはならんが。
「んで、どんなお菓子を作ってるんだ?」
「たい焼きです」
「たい焼き」
「鯛という魚の形をしたお菓子ですねー。これを作ってみたくてー、レーザー加工機でー切り出してーと考えてーこうやってるわけですー。そろそろーできる頃合いですねー」
話している間にレーザー加工機が止まり、中から話に聞いた魚を模したお菓子が出てきた。
レーザー加工機から初めて嗅ぐ香ばしいにおいに戸惑う。
「ノルノさんも食べますー?」
差し出されたが、なんとなく嫌な感じだったので遠慮した。
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