死後の異世界

第542話：カナヤ-タルハⅡ～無料会員、有料会員～

【ノンコルパルポート】というアイドルグループがある。

　この世界では大層人気が高く、当然のようにファンも多い。

　当然のようにファンクラブもあり、ファンクラブには会費というものが存在する。

　ノンコルパルポートの会費は年5万パソ。

　ファンクラブ会員の特典はライブの会場までの歩かなければ行けない距離が短くてすむ。

　優先的にいい席にあてがわれる。

　アイドルに対して直接応援の言葉を送れる機会もある。

　おおむね、こういう感じだ。

　一応、これはさっきも言った年5万パソを払うファンクラブ会員の話だ。

　実は、ランクがいくつかあり上のランクになると会費は無制限まで存在するという噂がある。

　無制限となると、それはもはやファンではなくスポンサーとかそういう類いの話になってくるような気もするが、実状ファンという扱いになっているという噂だ。

　それはまぁいい。

　最近問題になっていると噂なのは、最低ランクの無会費会員達だ。

　彼らは、ファンクラブ会員だが会費を一切支払わなくても良いということになっている。

　そして、ファンクラブ会員であるという以上の特典は存在しない。

　そう、無料会員にはファンクラブ会員であるという事実のみが存在しているだけで、ライブに参加するためには会場の三つ隣の町から歩く必要があったり、入れても会場の後ろの方の席だったり、直接アイドルの目についたりすることは滅多にない。

　実際それは相応の待遇だとは誰もが思うであろうと思っていたのだけど、何故かその待遇に文句を言う奴等がいるらしいのだ。

　彼らの言い分では『彼女らを応援する気持ちが重要なのであって、支払うお金は重要ではない！なのに会費で待遇に差をつけるとは何事か』ということだ。

　正直、聞いたときは何を言っているのか意味がわからなかった。

　いや確かに、彼女達を応援する気持ちは大事だと思う。

　それは重要だ。

　しかし、お金は重要ではないということはない。

　そも、応援する気持ちというのはあって当然、それを比べることはできないようなものだ。

　それでいて、お金も払わずして払っている人と同待遇を受けようだなんて烏滸がましい。

　というか、この世界では個人レベルでの資産は対して重要でもないし、年5万パソ程度働いてなくても払える額だ。

　なにを出し渋っているのかが全くわからない。