第541話:ボルガ=グリッヅ~他者の定義する自分」~
最近、考えていて気付いたことがある。
僕は自分をどれだけわかっているかということ、まったく自分のことを知らないということ。
正確には自分から見た自分を全く知らない。
僕が知っている自分は、誰かから見た自分だったということに気付いたのだ。
ことの起こりは数日前、考えすぎて何日前の話かは定かではないが、自分の認識に不和を感じた。今だからこそそういったものを感じたと断言できるが、何か違和感があるな、という程度の話だ。
初めて入る喫茶店での話。
人の考えていることがわかるという子がいると噂の喫茶店だ。
当然のように、彼女は僕の注文しようとしたものを言い当て、同行した友人の注文も言い当てた。
自己認識への不和はそこで訪れた。
僕はいつものようにそれを注文しようとしたのだろうか。
本当に?
たしかに彼女が言い当てたものは正しく僕が注文しようとしていたものだったが、僕はなぜそれを注文しようとしたのだろうか。
そういう疑問が自身の中に湧き出て止まらなくなってしまったのだ。
僕は確かにいつも同じものを注文する。
誰かと一緒にいるときはいつもそうだ。
一人でいるときは、そもそも喫茶店に行かない。
他の時も一人でいることは少ない。
だから、僕が何かを選んだり決めたりするときはだいたい一人じゃないのだ。
考えはじめてから、僕は何を基準に物事を選んできたのかわからなくなってしまったので、暫くは誰とも会わずに考えることにしたんだ。
今思えば、それが自分で決定した何か立ったのだけども、自分らしさではないような気がしてならない。
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