第493話:ノロソモノ~未踏の星へ~
来た、ついに時が来た!
太陽の火が落ち、あの空に浮かぶ唯一の天体へと迎える時が!
常に火を湛え、近づくこともできないあの太陽の火が消える日を8000年は待った。
いつまで火が消えているのかはわからないが、この日のために用意しておいた飛行船で今こそ太陽へ向かう時!
8000年かけて改良を続けてきた我が船は高速飛行で計算上は1日足らずで太陽の位置まで行くことができるはずだ。
目的は調査、火の熱で近づけなかったこともあるが、炎が発生させる力場で近づく子とが叶わなかった為今まで誰一人あの太陽へ乗り込んだ者はいない。
それを知ってからずっと太陽の火が消える日を待ち望んでいた。
どういう材質で構成されているのか、実は人工物ではないのか、火の色が変わるシステムの解明、やることは山ほどある。
なにはともあれ、出発だ。
飛行船に乗り込み、エンジンに火を入れる。
無限発熱回転、熱の輪、空間保有限界熱量突破、少ないプロセスを経て制御された爆発を起こし、一瞬で高速飛行物体へと変質する。
音を超え、光に近づき、空の乱れた重力圏を抜け、闇の中に光の点在する昼の夜空へ向かって光の筋を引くことなく飛翔し、一瞬の間を置くことなく太陽近辺へたどり着く。
さて、ここまでは予定通り。
搭載した計器からも太陽が発生させていた斥力の力場も検知されない。
飛行船はここに置いて、重力も存在しないこの辺りを着陸ポッドに乗って太陽へと降りる。
よし、熱はない、今私は誰も踏んだことのない大地へと足を踏み込んだのだ!
「誰だ君は」
声がした。
声がした方へと振り返ってみると、人がいて、自分と同じようなポッドを背にしていた。
「まさか、君も太陽の火が消えた時を見計らって?」
「そういう君も、そうなのかい?」
どうやら同じことを考えていた人が他にもいたようだ。
しかしどちらが先に到達したかなどで喧嘩は起きない。
時間はどれだけあるかもわからない、人手が増えたことをお互い喜び名乗りあうこともなく手分けして調査を開始した。
最終的に25人ほどのチームになった。
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