第492話:ワラスミ=カルコ~日の消える日~
目を覚ましたがやけに暗い、まだ夜だったか?
時計を見るといつもの時間、本来なら既に日は煌々と燃えているはずの時間だ。
時計が狂っているのか、空が狂ったのか。それともおかしいのは僕の眼か頭か。
なんとなく夢かもしれないと思いながら眠気が晴れない頭を拾い上げて散歩に出かける。
外は暗く、自分と同じように不思議そうな顔をして外をうろついている人がいっぱいいる。
街頭は点いているから普段の夜と同じぐらいの明るさはあるが、それでもこの時間の明るさではない。
厚い雲で空が覆われているのかと見上げてみても星空が見えるだけで何らおかしな物は見当たらない。
いや、いつもの空と違う。
昼の空にある明るい太陽はもとより、夜空にあるはずの薄明りを放つ夜の太陽も見えない。
太陽の火が消えている。
どうりで暗いわけだ、太陽の火って消えることあるんだな。
いつもそこそこ薄明るくは燃えてたから消えてるところなんて初めて見た。
どうせ過去にも同じようなことがあって記録にも残っているのだろう。
予告みたいなのがどこでも見かけなかったことを考えると不定期に発生する太陽の不具合みたいなものか。
ちょっと興味があるな、調べてみよう。
無い、一切の情報がない。
今謎の気象現象によって太陽の火が消えている!なぜ!?という結局原因は謎!で締めくくられている記事しかない。
となると、この現象は観測史上初ということになり、これから永遠に太陽に火が戻らないこともありえる!ということが読んだまとめ記事に書いてあった。
えーと、太陽の火が戻らないとどうなるんだ、ずっと夜のまま?もうだいぶ寒いけど冬季がずっと続いたりするのか?
困るな、すごい困る。
寒いのは好きじゃないし、暗いのも嫌だ。
どうしようか、と少し考えようと思ったが考えたところで何ができるわけでもなく、どうせ暗くて寒くなるなら暫く温かい布団で寝ることにした。
これから永遠に暗いままと決まったわけでもないしな。
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