第488話:ルベーグ・ラオ~爆弾市~

 ドゴーン!

 ダーン!ボーン!

 爆発音が響いている、一瞬戦場かと思ったけどここは市場だ。

【爆発物専門取り扱い安全安心青空市】、通称【爆弾市】。

 定期開催されている露天市なのだが、何もある通り爆発物のみが扱われている危険極まりない市場だ。

 危険極まりないとは言ったが、大丈夫、安全、安全安心がモットーらしいので大丈夫。

 大丈夫という前提の元運営されている。

 たとえ、けが人が出ても死者が出ても大丈夫、怪我した奴が悪い、死んだ奴が悪いという同意書みたいなのが必要だ。

 全然大丈夫じゃない気がする。

 全然大丈夫じゃないのだけども必要なものがあって、ここに来ることになってしまったのだ。

 爆発物はかなりの自由度があるこの世界でも取り扱いが面倒なので、こういう専門市へ来ないと手に入らないのだ。

 今回の目的は爆発平原の砂、個人所有の発電機を作ろうと思って何をエネルギーにしようかと思った結果、爆発平原の砂を使うことにした。

 構造的には爆発し続ける砂をエンジンの中に入れて、タービンを回してモーターを回して発電という簡単なものだが、爆発が見えるとかっこいいとかそういう理由でそういう構造にすることにした。


 さて、心の準備もできたことだし、爆弾市に入ることにした。

 入手し難い物ばかりが集まっているこの市場は活気があり、色々なところから聞こえる爆発音も混じって騒がしい。

 業火ウサギの糞、炸裂蝶の鱗粉、爆裂アロワナ、ニトログリセリン、等々……様々な爆発物が並んでいる。

 ガラス瓶に入っている物もあれば綿で何重にもくるまれている物、浮かぶ泡に入っている物と様々だ。

 興味深い物がいろいろあるが、爆発平原の砂は見つからない。

 もしかして売っていないのではないだろうか。

 生物資源の爆発物は卵を拾って安全に取得することができるが爆発平原の砂はいつ爆発するかもわからないし爆発している平原へ行って拾って来なければならない。

 案外貴重な品なのかもしれない。

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