第487話:オサロ^アラグ~スペースシップ~

 ゴゴゴゴゴゴ

 とてつもなく大きな音がして、潜っていた洞窟が崩れるんじゃないかと不安になって外に慌てて出てみたら、見覚えがある巨大な船が轟音と共に大地に突き刺さり横たわっているところだった。

 見覚えがあるとは言ったが、本当に見覚えがあるだけで詳細はまったくわからない。

 確か、昔、生きていた頃に見たんだ、宇宙移民船とかそういうやつだったはずだ。

 宇宙移民船は1号の出航がすごいニュースになったのは覚えているけど、どうなったんだったか、暫くの間ニュースでいろいろな続報とか流れてたと思うけどいつの間にか聞かなくなっていったような……?

 ともかく、今ここにあるってことは宇宙の果てで死んだのかな、宇宙船が死ぬって意味わからないけどそういうことなんだろう。

 この世界でおきる意味の解らないことは考えないことにした。


 この世界では探索者をやっていることもあって、こういう未知の建造物というのは興味がある。

 死んだとはいえ移民船、一つの小さめの国程度の大きさはあるし探索してみたらいいものがたくさん見つかることだろう。

 早速、入口も見つけたことだしレッツ探索!


「うわぁー本当に街があるんだー」

 船内に入って少し硬質な通路を抜けた先には空があって、街があった。

 移民船の中は長期間の宇宙航行と、移民先の星での生活を想定しての船内で循環し生活が成り立つ設備があるらしい、入口にあったパンフレットに書いてあった。

 街の中は当たり前のこと、当たり前かどうかはよくわからないけど人はいない、植物もない、庭の何もなさと立派で劣化のない建物のギャップが大きい。

 こうも綺麗な建物に探索に潜るのは、なんというか泥棒ぽくて気が引ける。

 気が引けるので、建物には手を付けず街の中をうろうろすることにした。

 いやまぁ、遺跡探索なんて盗掘と大して差は無いと思うのだけど、朽ちた遺跡とこの妙に綺麗な街ってのは気分に及ぼす影響は大きい。

 盗掘は他の人にでも任せよう。

 私は一番乗りの特権とばかりに情報を集めてまとめてそれを売ることにした。


 街はずれの資源生産セクション、牧場のような雰囲気の羊毛生産設備。

 どういうわけか、ここにだけは生き物がいた。

 これは羊、羊かこれ?羊ってこんなんだっけ?となんとも疑問に思ってしまうような羊のような、プレートには宇宙羊と書いてある。

 宇宙羊ってなんだこれ。

 なんでこいつだけここにいるんだろう。

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