第464話:カルア=レン~戦う車~

「ずんずこずん♪ずこずんずん♪」

 ギャリギャリバリバリと音を立てて荒れ道を進む。

 無限軌道の履帯があらゆるものを踏み潰して進む。

「ずごーん♪だごーん♪」

 輝く砲台計3門、いつでも撃てるように弾込め準備は常にばっちり、タゲって3秒で発射可能。

 しばらく使っていないけど、毎日の手入れは欠かしていない。

「べっきべきー♪ばっきばきー♪」

「へいリーダー!前方に敵影発見!撃ちましょう!」

 進行方向、300クロン程先に動く影が見えたという報告を観測士兼装填手兼砲手兼操縦手からの報告が入った。

「敵ぃ?敵なんているか!的確に報告をしろぉ!」

 戦車に乗っているが、特に戦う目的ではない。当然敵対勢力も存在するはずがない。

「あいすいません!前方に特殊車両!所属不明!武装は認められません!」

「どーこが敵だ!どっちかというと的か?」

「撃ちます?」

「いやまて、問答無用で撃つと問題になるかもしれん。問題になれば狙われることになるぞ。できれば避けたい」

「リーダーにしては冷静な判断ですね、向こうに通信してみましょうか」

「うむ、内容は任せる!」

「あいリーダー!」

 即席通信手ペコペコ端末を操作して推定的へと何事かを送信した。

 少し待つと推定的は逃げ出した。

「おい、なんて送ったんだ?」

「撃っていいですか?って送りました!」

「あー、そりゃあ逃げるなぁ。もうちょい考えて送ってくれや」

 突然見ず知らずの戦車に「撃っていいですか」なんて聞かれたら私だって逃げる。

 もうちょい部下の教育はしっかりせんといかんな?

 まぁいいか、自主性を尊重するということで、

「さーて、次の的を探しにしゅっぱつ!」

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