第463話:ペンニャ*リールン〜地下街〜

 ビルとビルの間にヒト一人が通れそうな隙間がある。

 なんとなく、吸い込まれるようにして隙間道に入り、奥へと進んでいくと下りの階段があった。

 地下?ここまで来たし行ってみるか。


 地下だが、階段の上よりも明るい。

 階段を降りたところには街があった。

 通路が大分先まで伸びているのが見えるが、途中で曲がっているのか下っているのかその先は見通せない。

 狭い通路に沿うように多数の商店が並んでおり、そのどれもが店主が一人いるだけであまり繁盛している様子はない。

(まぁ、入り口があんなんじゃそんなもんか)

 隠れ家的な商店街なのだろう。

 どの店も趣味の店なんだろうか。

 せっかく見つけたんだし、適当な店でなにか買い物をしていこうと思うのだが、わかる店が無い。

 トランサ専門店、アルグフローク、イロッケアラル、あろら屋。

 ひとつもわからん。

 専門的な店なのか、世界ローカルな店なのか、単に僕に学が無いだけなのか。

 なにかわかる店が無いだろうかと、どんどん奥に進んでいくと料理屋があった、油のいい匂いがして、食品サンプルが飾ってあって、値札がついている。

 間違いなく料理屋、食事をするところだ。

 見た感じ、食べられないものは使われていなさそうだし、入ってみよう。

 例え、店名もメニューも未知の文字で書かれていて読めなくても、だ。

 中に入り、席に案内される。

 渡されたメニューデータに翻訳を掛けるも知っている名前の料理がない。

 適当に写真を見て選んで、指で指し示す。

 注文はすぐに通ったようで、奥の厨房から調理音が響いてくる。

 聞きなれた調理音で安心する。

 少なくとも、既知の調理法で調理された料理が出て来るのは間違いない。


 出て来た料理は写真と違った、何かを炒めていた音もしていたのに出て来たのは緑の立方体。

 食器はなく、手で持って直接かぶりつけと言われ、食べてみたら確かにメニューの写真の料理から想定できる味ではあった。

 釈然としないまま店を出て、また地下通路。

 さて、もう少し奥に進んでみようか。

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