第418話:カンデ・ボウロ~海からくる脅威~
「ああ、今日は海には近づかない方がいい」
「なぜ?」
海へ行こうと歩いていたら、地元に住んでいる人らしい青年に止められた。
「今日はな、海からバケモンが上がってくるんよ。まぁー魔物ハンターにも依頼かけてるんだが、年一でしか上がってこないから討伐する機会があんまりなくてなぁ。つーわけだ、今日がその討伐の日ってわけでな。残念だがまた出直してきてくれ、まぁ見物していってもいいけどな」
うーん、海で泳ごうと思ってたけど、できないのならそれもいいかもしれない。
「いい場所あります?」
「そうだなぁ、ここらへんじゃないか」
「この辺に上陸してくるはずだから、ここの高台とかよく見えていいと思うぞ」
「ふむふむ、なるほどなるほど?」
「上陸予想時間はだいたい昼前、弁当を買っていくといいだろう。うちでな」
あ、やられた。
別に食券だから損はするわけじゃないけどなんとなくやり手だなって思う。
青年のやっている店で軽く弁当を買って、教えてもらった高台へやってきた。
たぶん同じようにしてやってきた人たちが、僕が持っているものと同じ包み紙を抱えてやってくる時を待っていた。
時計を見ている人、携帯端末を操作して何かしている人、何もせずぼーっとしている人、武器を整備している人といろいろといる。
海岸の方にもちらほらと魔物ハンターらしい人があつまってきている。
だんだん、魔物ハンターたちの様子が変わってきた、そろそろ来るだろうか。
周りの観客たちもなんとなく察しているのか、手遊びをやめ海岸の方へ注目している。
皆に注目される中、海が盛り上がり始めた。
ザザザザザ――と大きな水音を立てて、とても巨大なセイウチが海から現れた。遠目に見たら少し可愛い。
そんなセイウチとハンターの戦いを高台からうまいこと買わされたあまりおいしくない弁当を食べながら見ていたのだが、激しい攻撃に対してセイウチは倒れることなく、海へ帰っていった。
見ていると魔物ハンターは解散してしまった。
たぶん、来年も同じようなことがあるんだろうな。
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