第266話:バームⅡ〜鬼からも逃げる〜
なんで、なんで、なんでだ!
なんであんなやつらに追いかけられなければいけないんだ!
俺はあんなどこかの世界で鬼と呼ばれていたようなやつらが実際にいる世界で悪さを働いたことなんてないから、恨みで追いかけてきているってことはないと思う。
もしかしたら、俺に恨みがあるやつらが手配した追っ手だろうか。
そこまですることないと思うんだけど、本当にしつこい。
というか、あいつらどうやって俺を見つけているんだ?
結構な頻度で変装したり、顔や体型を変えたり、身分証まで公式の、あまり知られていない方法で書き換えたりして行動の履歴を消しまくっているというのに。
たまに前の身分が必要になったりしたときに、ばれて新しい身分を用意することはあっても、なにもせずにばれたりしたことは今までになかった。
もしかしたら何か別の要素で人を判別する鬼なのかもしれない。
まいったな、そんな鬼に目をつけられたらどうやって逃げればいいんだ、そもそも何で人を判別しているかを知らなければならない。
「つー訳なんだけど、あいつらのことについて教えてくれね?」
「何がどういうわけだ、全然わからん」
よく行く情報屋で追っ手の写真を見せて話を聞く。
「うーむ、これは恐らくアガウバグスという世界の悪人が死後が行く世界、カバエ《地獄》の住人だな。なんでまたこんなやつらに目をつけられてるんだ」
「地獄の住人? そいつらは他人から依頼を受けて人を襲ったりするのか?」
「そんな話は聞いたことないな、やっぱお前がどっかで恨み買ったんじゃねぇのか?」
「思い当たらないな、ていうか初めて会ったぐらいだ」
いきなり襲われたぐらいだ、うまく目眩まししたりして逃げ出したけどな。
「あーそうだそうだ、そいつらはどうやって人を判断している? どうやっても見つかっちまってさ」
「そういう話か、やっとうちに来た理由が見えてきたな。少し待て、調べてくる」
そう言って店の裏に資料を見に入っていった。
少し待っていると、別の客が入ってきた。
この店は扱っている商品の関係で入ってすぐの所からはこの場所は見えない。
外からも中に別の客がいることがわかるようになっているし、わざわざ入ってくるようなこともないだろう。
と、思っていたのだが、この部屋の扉が開けられた。
そうして入ってきたのは、鬼。
「やっべぇ」
どうして見つかったのかとか、そういうことは置いておいて、逃げる。
常連だけが知っている、この店の抜け穴を目指して奥へと逃げる。
なんとか撒いたが、なんであの店にいて見つかるんだ。
また、時間と顔を変えてあの店の親父には話を聞きに行かないといけないな。
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