第267話:アイルーテ^ミテルⅡ~ロボット相談~
「所長、少しお話いいですか?」
少し仕事の気晴らしにとターミナル内を散歩していたら職員の一人に声をかけられた。
こいつは、ルルニア君のところのロボットだったか。
名前はヘクシア、番号が16だったか。
先日は死兵鎮圧で活躍したと報告があったな。
「いいよ、あそこで話そうか」
そう言ってターミナル内に併設されているカフェを指す。
このカフェは失言に熱湯が飛んでくることもない平凡な喫茶店だが、話をするのであればそちらの方が都合がいい。
「僕はミュミュを、ヘクシア君は何か飲むかい?」
「私は必要ありません、ロボなので」
「そうか、じゃあ以上で。お冷も一つでいいよ」
注文にかしこまりましたと丁寧に応えた店員は持っていたタブレットから裏の厨房に注文内容を飛ばして下がる。
「で、何の話だい?」
「ロボットの転生についてなのですが、私以外のロボットの転生例がないのに、なぜ私は転生してきてしまったんでしょうか」
ああ、そういう話か。
「別に、何にも変な話ではない。単にターミナルの場所に転生してくることがないだけで、我々の知らない場所に転生してきている可能性もあるのだからな」
実はロボットの転生場所があるという噂は結構前からある。
難度か壊れたロボットの残骸が発見されたという話もある。
「それならば、なぜ私だけヒトと同じ場所に転生などしてしまったのでしょう」
「別にあまり珍しいことではない、 あくまでターミナルというのもヒトに片寄って転生してくる場所に建てられているだけで、ヒトは全てターミナルに転生してくるというものではない。もちろんヒト以外がターミナルに転生してくるということも結構あることなのだ」
「そうなのですか?」
「うむ、先日君が殲滅した死兵もターミナルには滅多に来ない。あれが来やすい場所というものもまた別に存在する」
「なるほど、そういうものなんですね。少し安心しました」
「まぁ、また何か不安なことがあれば相談するといい。私は所長等という大層な役職を持ってはいるが、やっていることと言えば仕事の振り分けぐらいのものだ。暇そうな所を見かけたらまた声をかけるといい」
「ありがとうございます、ではここの支払いは」
「ああ、いいんだ。所長という役職はなかなか便利でね、必要ないんだ」
それに対してお礼を言って彼、彼女かそれともそれは席を立ち仕事に戻った。
いつの間にか運ばれてきていたミュミュを一気に飲み干すと、僕も実際のところはそこまで楽とは呼べない所長の仕事に戻るのだった。
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