第226話:ミュニ〜どこでも歩ける〜

 てくてくてく

 壁を歩いていると、知らないしおじさんに声をかけられました。

「なぜそんなところを歩いているんだい?」

 なぜ壁を歩いているか、そうですね、歩けるからでしょうか。

 そう説明すると納得はいかないがそれ以上聞くこともできない、そういう顔になって考え事を初めてしまったのでを放っておくことにしました。


 てくてくてく

 壁を上に向かって歩いていると、上から鍋が落ちてきました。

 私には当たりませんでしたが、振り向くと下で考え事をしていたおじさんに、カーンッと音を立てて当たりました。

 また鍋が落ちてくると危ないからこの壁からは離れることにしました。


 てくてくてく

 壁を離れて空中を逆さになって歩いていく。

 逆さまになって見る町はいつもと変わって見えますね。

 具体的には上下が逆さまに見えます。


 てくてくてく

 上の方、いや下の方から声をかけられました。

「おーい、どうやってそんなところを歩いているんだ!」

 下を見上げてみるとさっきの、おじさんでした。

 歩けるから歩いているんです。

 教えてあげてもまた納得いかないような顔をして考え込んでしまいました。

 放っておいて私は歩き続けます。


 てくてくてく

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