第225話:ルーニード・モンスⅤ〜ひねる時間〜
「この穴か……」
今日の仕事は謎の穴の調査。
山の中腹に空いた横穴だ。
予め聞いた話では内部の時間がおかしいという話だ。
時間がおかしいってなんだ?と興味を持って引き受けたのだが、時間がどうとか以前にこの穴に入るのには躊躇ってしまう。
暗いのはもちろんだが、臭い、妙な音、鈍い色彩を持つ闇。
危険そうな要素が多い。
話を聞いているときは面白そうだと思ったのだが、実際に来てみるとヤバい。
いつもそう思ってる気がするがこれは、死ぬかもしれないな。
とりあえず、入る前に中がどうなっているのかカメラでも放り込んで調べてみるか。
用意してきたボールカメラを出す。
外から遠隔操作はできないと聞いたからオートで転がって情報を集めて戻ってくるタイプ。
「よし行け」
行動パターンを設定して穴に放り込む。
大体1時間程で戻ってくる設定にした。
一時間経っても戻ってこない。
どっかに引っ掛かってるんだろうか。
もう少し待ってみるか。
更に一時間経過。
戻ってこない。
流石に何かあったかと一応搭載してある発信器の反応を確認する。
信号は見つからない。
やっぱり、通信不能か。
更に一時間経過。
やっとカメラボールが出て来た。
大体三時間、何があったかは映像を確認すればわかるだろう。
早速ディスプレイにカメラの記録を出力する。
穴の外にも聞こえてくる音とねじまがる光、そのせいで穴の中の形は正確には取れないがカメラはどこにも引っ掛かることなく、穴の外まで出て来た。
おおよそ一時間の再生時間。
時間がおかしいとは聞いていたがこういうことか。
時間の速さが違う程度か。
そのせいで光りも歪むし変な音もする、信号もズレてまともに通信できないと。
カメラは少し遅れてだが何事もなく戻ってきたことだし、入っても問題ないだろう。
ただし、光と音を遮って正確に地形を観測する手段を確立してからだがな。
今日のところはそう報告してやることにしよう。
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