第221話:ヘクシア-16Ⅲ〜手のひらをじっと見て〜
自分の手を見る。
有機スキンで覆われてはいるが内部には武装が仕組まれた機械の腕だ。
先日、久しぶりに死兵を相手に武装を展開した時のことを思い出す。
この世界で体を再構成された時、それ以降も定期的に武装含む各種システムのチェックは行っていたが、実際に展開するのは初めてだった。
展開してみれば武装は快調、次々と現れる丸腰の死兵に遅れを取るはずもなく、戦闘結果は損害ゼロ。
グルヴェートターミナル第3転生ホールを殲滅した後、他にも死兵が転生してきていた転生ホールを巡り死兵の殲滅をした。
もちろん損害ゼロだ。
丁寧に消し炭にするように倒したから後始末も面倒ではなかったように思える。
少なくとも実弾武器で死兵の体液を撒き散らすよりはマシだったはずだ。
そう、戦闘において反省すべき点など一つもなかった。
そのはずなのに何故こうもあの戦闘が気になるのだろうか。
最近は気づけばいつもあの戦闘データを閲覧している。
博士に相談してみようか。
「というわけなのですが、どうでしょうか博士」
「心理相談は私の専門外だと思うのだけど?」
「一応、AIメンテナンスという事でどうか」
「いやぁ、あんたはコピーもバックアップも取れないし検査のしようがないんだよねぇ、うっかり消しちゃったらあんた死んじゃうし」
「そうですか……」
「あんたの知り合いにそういう、心理相談とかしてる人いないのか?」
「データベースを検索しても該当する人物は登録されていません」
「そうか、じゃあグローバルネットで情報を集めて自分で診断とかすればいいんじゃないか? 得意だろそういうの」
「一応考慮してみます、ではまた」
「せっかく来たんだ、うちの仕事を手伝っていってもいいんじゃないか?」
「そういう契約はしていないので、失礼します」
「そうかい、また気になることがあったら来るといい」
そう言って博士の所を出た。
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