第213話:ライマリー=ナーズⅤ〜上か下に落ちる〜
「うおおおおお!?」
落ちてる!?いや、吹き上げられてる!?
どっちだ!?
たぶん、感覚的には落ちている。
上の大地も下の大地も見えない高さにいるため、どっちに向かって落ちているのかはわからない。
重力の向きもどっちに向いてるのかわからんし、壁に張り付くのでやっとだ。
突然エンジンが止まったと思ったら、落ち始めた。
緊急事態だ、機体も回転して太陽から向きを考えることもできない。
エンジン自体が止まっているのに機体内部の重力まで不安定でろくに動けないし、再起動しに行くこともできやしない。
なにが「あらゆる状況を想定してその対策を組み込んであります」だ。
想定されていなければもちろん、対策もされていないじゃないか!
こりゃあ、死んだかなぁ。
空の向こうを目指した冒険家、空の半ばで死ぬ。
ニュースの見出しはこれかな。
いや、還ってこなかった冒険家か。
いや、そもそもなにも伝えられずニュースにもならず、忘れられるだけだろうか。
そろそろ諦めかけてたとき、ガコンと何かが嵌まった音と共にエンジンが再起動した。
自動で体勢を立て直し、何事もなかったかのように空の向こうを目指し始めた。
一応太陽の方向を見て確認するが間違ってはいないようだ。
荒れ果てた機内だけが、今の混乱を示していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます