第209話:ルルニア=ローテルⅧ~ゾンビ転生~

 うわぁ、臭い転生卵だ……。

 一度に大量の凄い臭う転生卵が現れた、結構前にも似たようなことがあったことを思い出す。

 あの時は確か中に腐った死体が入っていたんだったかな。

 恐らく今回もそうなのだろう。あの後、一定時間中から割れなかった転生卵は外から割ってもいいということになったが、その一定時間、次の交代までは臭いまま置いておかなければならなくなった。

 別室とかに隔離しておくわけにはいかないのだろうか。

 普通の転生者の人とかもこの臭い部屋で説明を受けるのは嫌だろうに。

 特に私が嫌だ。


 運が良いのか悪いのか、あと少しで交代という時間まで臭い転生卵以外は来なかった。

 時計を見て、そろそろ引き継ぎの文句でも考えようかと思ってると、不吉な音がした。

 その音は聞きなれた、それでいて不吉を感じるのは初めてな。ピシッという、亀裂が入る音。

 あの転生卵の中身は腐った死体のはずで、中から割られるなんたことはないはず。

 だけど、そこらじゅうからピシッピシッと響く。

 この転生卵はの中身は、生きているのでは?

 まずい、一度にこんな数の転生者は私一人では捌ききれない。

 応援を呼ばなければ。

 携帯端末デバイスに登録されたショートカットからロボへコール。

 すぐにロボがやって来る。

「ロボ、あれをスキャン。危険度によってはこの部屋を封鎖して退避」

「了解ロボ」

 ピピピピピーとわざとらしい音を口で言いながら転生卵をスキャンする。

「スキャン結果。データベースと照合した結果魔術により仮生命を与えられた死兵、通称ゾンビと断定、マスターへの推奨行動は退避、このホールを閉鎖の後は私が殲滅します、ロボ」

「ここは任せたわ、じゃあ頑張って」

「了解ロボ」

 確かこのロボは元の世界では戦闘アンドロイドだったはず。

 なんとかなるだろう。


「あれ、なにしてんの?」

 ホールの外で待機していたら交代の時間になり、次の人が来た。

「ちょっとアクシデントがありまして、中では戦闘中です」

「戦闘って、何があったんだ」

「ゾンビが発生しましてね、制圧中です」

「……少し、待った方が良さそうだな」

「入るのは危険ですね」

 制圧が完了するまで、過去に見たゾンビものの映画の話で盛り上がろうとしたが、世界が違いすぎてあまり盛り上がらなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る