第208話:ナカトキ_ソーⅡ〜ボロ屋に人が集まればそうなる〜

 歩くと湿り気味な木の床がギシギシと音をたてる。

 ここら辺もそろそろ危ないか。

 以前住んでいたところは天井が崩落したので、引っ越した。

 どうにか通れる道を手繰って別の場所、比較的新しい区画に新居を構えた。

 共用トランスポーターも近く、買い物にも便利な場所だ。

 しかし共用トランスポーターが近いので人も多く、通路等の劣化も激しい。

 誰も修理とかしないんだよなこの街。

 こんなんだといずれ、街自体が崩落するんじゃないだろうか。

 そうなったときのためにトランスポーター物体取り寄せ機よりもゲートの近くに住んだ方がいいだろうか。

 しかしなぁ、ゲートの近くはギッチギチで住みたくない。

 ここも人口密度は高いが、ゲート付近ほどではない。

 そうだ、せっかく共用トランスポーターが近いのだから材料を取り寄せて俺が補修すればいいのか。

 とりあえず、床張り替えるか。


 だめだ、疲れた。

 思いの外重労働だなこれ。

 少なくとも俺の体がもう少し大きければもう少し楽になったんだけど、子供の体じゃきついな。

 なんかいいアイデアはないものか。

「おう、ソーじゃねえか。どうしたそんなところで座り込んで」

「ああ、ヨンか。この辺り、少しいじった方がいい気がしてさ。色々試そうとしてたんだけど、体力が尽きた」

「なるほどな、おまえチビだもんな」

「いやチビじゃねぇよ、年相応の体格だよ。数年もしたらおまえなんて追い越すぞ」

 死んだときの背は9カルク、この世界の単位に直すとだいたい、えーと6クロンと少しぐらいか。

「そうだ、ヨンも手伝ってくれよ。おまえ子の辺りの仲間も多いだろ? 人を集めてさ、一気にやっちまおうぜ」

「うーん、暇だしやるかぁ」

 しぶしぶといった感じだったが、承認してくれた。

 そして人を集めた結果、 既にボロくなっていたトランスポーター前広間の床が抜けた。

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