第195話:カシファン-マーナシアⅡ〜考える人・考えない人〜

「考えない人って、普段何考えて生きてるの?」

 気になった、最近気づいたのだが、私のように色々なことを深く考える人というのは非常に少ない、らしい。

「ちょっとなに言ってるのかわからないんだけど」

 そういう話を友人に振ってみたのだが、彼女は考えない人の側だ。

「例えば、世界の果てがどうなっているか、とか考えたことってない?」

「え、なにそれ」

「それよ、それ。つまり、普段から考えない人は何を考えるの? って話」

「何を考えるもなにもなくない?」

 本当に考えない人には通じない話なのか。

「例えば、あそこにボールが転がってるよね」

 私の部屋にはボールが転がっている。

「転がってるねぇ」

「どう思う?」

「どうって、ボールが転がってるなぁ以外に何を思うの?」

 これだから……。

「あのボールはなんのためにあそこに転がっているのだろうとか、どこで買ったのだろうとか、そういうこと」

「普段からそんなこと考えてるの……? こわいなぁ」

「何が怖いのよ」

「だって、なんでそんなこと考えてるか分からないんだけど」

「気にならない?」

「ならない」

「ならないかぁ、その感じ、その感じで何を考えてるのかわかる?」

「なにも考えてないけど」

「何も考えてない?」

「うん、何も」

「なにも考えないとか、そんなことがあり得るの?」

「そんなこと言われてもなぁ」

 考えてないって、どういう状態なんだろう、考えても解らなさそうだ、しかし、なにも考えないって、なんだろう?

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