第185話:ユート-サムニⅡ〜掃除機のかけやすい部屋とは〜

 ある日、気晴らしにと別の町まで足を伸ばしてみて、不思議なものを見かけた。

 ドラム缶のようなものが、人と人との隙間を縫って忙しく動きまわっている。

 あれは何をしているのだろうか、道行く人は見慣れているのか、気にすることなく歩く人が多い。

 どうしても気になったので、気にしずに歩く男性を呼び止めて聞いてみた。

「あのドラム缶は何をしているんだ?」

「あれか? あれは掃除ロボットだ、道路に落ちているゴミを集めて処理しているんだ」

「掃除ロボット……」

 あれがそうなのか、話には聞いたことがあったがあれほど大きい物だったとは。

 そのうち家にも1台欲しいと思っていたのに、あれでは相当大きい部屋でしか使えないぞ。

 どうするか、いや別に掃除ロボットを部屋で使わなければいい話なのだが……。

 しばらく掃除ロボットを観察してみる。

 慣れているであろう者は、さっと避ける。

 慣れていないであろう者は、避けようとしてロボットと同じ方向へ移動してしまったりして、もたついている。

 そして、より慣れている者は、避けない。

 ロボットが避けるのをわかっていて、自分の歩く道は変えず歩き続ける。

 ふぅむ、あのロボットと同居するならあれ程 までに居ないものとして扱うのがいいか。

 もしかしたら慣れきっている彼らは自宅にあれと同じものがあるのかもしれない。

 俺にあそこまでの大きいロボットを無視することなどできるだろうか。

 いいやできない。

 少し、検討したかったのだが、やはり掃除ロボットを家で使うというのは俺にはできないようだ。

 いや、うまく家の構造を考えれば、どうにかなるか?

 一部屋を広くとり、廊下の幅も今の倍に、帰ってあれの仕様と値段辺りを調べてみるか。


 帰ってみて、あれは業務用であり、一般用の小さな物が安く存在することを知り、それ用の自宅設計を始めることになる。

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