第164話:レールン‗ダルー〜前世の知り合いの群れが現れた〜

「お、もしかしてレールンか?」

 街を歩いていたら声をかけられた。

「あー、ほんとだ、レールンじゃん」

「まじだ、レールンとかなつかしー」

「ちょっとー、レールンと会ったんだけどあんたも来ない?」

 それも、4人いる。

 一人が通信で呼んでいる先もいるから5人か。

 それも、全音同じ奴だ。

「なんだなんだ、カルノ、お前、何人いるんだよ」

「えーと、一緒に暮らしてるだけで8人だっけ?」

「一人暮らししてる子が3人ぐらいいるんだよね?」

「最近また1人来てたよね?」

「たぶん15人ぐらいかな?」

「そんなに死んでたのかお前は」

「レールンに蘇生してもらったのは何回だっけ?」

「7回だな、というか、同時に喋るな、聞き取り辛い」

「いいじゃん、ねー?」

「うんうん、レールンが私に振り回されるのはいつものことだし?」

「そういう立ち位置なんだよね」

「ねー、じゃない。俺の耳は2つしかないし、それを処理する脳もひとつしかないんだ、一人づつだ、話すなら一人づつにしてくれ」

「誰から話す?」

「私は別に話すことないけど?」

「私もないなぁ」

「そういえば私もない、と言う訳で、またねー」

「ばいばーい!」

「じゃーね」

「あ、連絡先だけちょうだい、うん、ありがと、またね」

 それだけ言って俺の連絡先を持って彼女達は帰って行った。

 …………、なんだったんだ。

「おや、そこにいる子供はレールンさんではありませんか?」

 また知り合いか。

「あんたは、あっちと同じ姿なのか」

「ええ、僕は年齢というものがありませんからね、生まれたときからこの姿です」

「俺のことを知ってるってことは出会ってから死んだんだよな? 俺の記憶ではあんたが死んだのを見たことも蘇生したこともないんだが」

 もともと不死身みたいな人だしな、死んだことがあるというのが信じられん。

「それはまぁ、僕にもいろいろあるんです、それよりも慎重で用心深いレールンさんが死んだというのも信じ難いことです」

「ああ、まぁそれもいろいろあってな」

「そうですか」

「…………」

「…………」

 会話が続かん!

 そういえば生きていた頃はカルノが主にパーティ内の会話を回していたな。

 あいつ、一人ぐらい残ってればよかったのに。

「じゃあ、またな」

 なんの話もなく、別れてしまった。

 連絡先ぐらい聞いておけばよかったと思ったが、カルノがどうせ知っているだろうし、俺から連絡することもあるまい。

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