第165話:マクロン-ポップⅡ〜知恵あるドラゴン〜
『我を倒すとは…………、人間にしてはやりおるではないか…………』
この世界に遥か昔から存在し、世界を見守っていた
『あんたに罪はないが、個人的な欲望の元に死んで貰う。
俺を恨んでも構わない、龍は生まれ変わっても記憶を引き継ぐと聞いたことがある、もし覚えていたのならば俺を殺しに来るがいい』
『ほぉ、我を倒すほどの欲を持つ人間か、気に入った、我の全てをやろう! さあ、もって行け!』
『すまない…………そして、感謝する』
剣で、倒したオルヴィネメリアの胸を切り裂き心臓を取り出す。
その心臓を皮袋にしまい、落ちる星のような勢いで町へ戻る。
家の扉を開け、中へ飛び込み、ベッドに横たわる妹と、その傍らで妹の容態を看ていた医者に皮袋を渡す。
『オルヴィネメリアの心臓だ、これがあれば妹は助かるんだよな?』
『これは…………、まさか本当に持ってくるとは思わなかった、伝説によればこれで妹さんの病気は治せる』
皮袋から、カップにオルヴィネメリアの血を移し、妹に飲ませる。
しかし、妹の体調は良くならず、いきなり現れた旅の者が手を翳すと、妹の体調がみるみるよくなった。
『龍に気に入られたものは欲を満たすことができる、伝説に新たな一文を加えておくといい』
そう言い残して、謎の旅人は去っていった。
…………なんだこりゃ。
今度戦う予定なのが、古くからこの世界にいるという知恵ある龍なのだが、それの参考になるかと思い丁度上映していたどこかの世界の名作と言われているドラゴンを倒す映画を観てみたのだが、漏れた感想は「なんだこりゃ」だった。
肝心のドラゴンと戦うシーンが少な過ぎて全く参考にならなかった上に、そのドラゴンの動きも、まるで知恵のあるようには見えなかった。
結論から言えばなんの参考にもならなかった。
それもそのはず、この映画を作った世界のことを調べてみたが、その世界にはドラゴンは存在しないのである。
あくまで、架空の存在としてしか存在していない。
本筋のドラマも大して面白くなかったし、時間を無駄にしたな。
さて、他の資料でも調べてみるか。
「さーて、今回の討伐対象は強敵だぞ」
事前準備を終え、目的地に一番近い街にやって来た。
今日は転移魔法を使える彼はいないので、ここから車で移動して10日程、打ち合わせをしながら移動していく。
途中、軽いトラブルもあり12日かけて目的地である【
「この山に今回の目的の龍がいるらしい」
そこからは警戒し、龍を探してうろつく。
数日かけて探したが、全く見当たらなかった。
所々に痕跡はあったが、龍そのものは見つからない。
討伐されたという話は聞いたことがないし、別のところに移り住んでしまったのだろうか。
肩透かしを食らった気分になったが、話の通じる相手と戦うというのも気分が悪いと思っていたので、心のどこかで安堵しつつ、仲間達と帰路についた。
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