第162話:ライマリー=ナーズⅣ〜飛行再開〜
突然重力がコロコロと変わるようになって、一度地上に帰ろうかとも思ったが、意外となんとかなるものだ。
搭載してあった外部調査装置単体で進行方向に打ち出し、本体機との相対位置より重力の変化を測定し、それを参考にして重力の向きを修正するというシステムを構築した。
いやー、いろいろ準備しておいて本当によかった。
データだけ取って帰ろうかと思ってたときに思い付いてやってみたんだけど、うまく行くもんだな。
システムの構築に一季丸々かけたけど、これでなんとかこの重力荒れ狂う空域を抜けることができるだろう。
気づけば太陽は遥か高くにある。
冬季に入ったからな、この航空機よりも太陽の移動速度の方が速い。
あーよかったよかった、中途半端なところで出戻りとかにならなくて。
おそらく、打ち上げられた無人機のほとんどがこの辺りで誤作動を起こして墜落や空のどこかに消えたのだろう。
知らなければ無理だ。
俺はもともと、向かう半ばで向こうの大地の重力の向きになるのだろうと予測していたから航空機内部の重力の向きを修正する機能等を用意していたのだが、このようなタイミングで役に立つとは思わなかった。
さて、このままなんの問題もなく空の向こうまで行けたらいいんだけどな。
そううまく行くならば、既に向こうとゲートは繋がっていただろう。
そう感じる事件が起きた。
一部の計器が壊れた。
予備も積んでいたし、少し時間をかければ直せる程度のものだったから良かったが、原因がよく分からない。
磁場の乱れによるものかと思ったが、真っ先に影響を受けそうな機器はなんともなかったりと、不思議な壊れ方をしていた。
大気中の魔力の流れが乱れているのだろうか。
魔力の流れがおかしいと、不可解な現象が起きるときいたことがある。
重力の乱れもそのためだろう。
このまま進めば、魔力の乱れは大きくなってより、不可思議な現象が起きるだろう。
計器が壊れたりしても直せば良いが、それどころでは済まないような現象が起きそうな気がする。
船内は完全に外部と魔力を遮断しているから死ぬようなことは起きないだろうが、外部に露出しているセンサー類がどうなるか怪しい。
先日構築したばかりの重力の乱れを検知するシステムもすぐに役に立たなくなるかもしれない。
どうしたものか。
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