第136話:タム-リーリャン〜溺れダイバー〜
訳あって深海に潜ってきたのだが、途中で水中に適応する魔法の効果が切れてしまい、人魚に助けられた。
その結果、今回の探索で発見した財宝は全て譲渡するという契約を結ばされたけど、僕の目的は財宝ではないから問題ない。
1日だけって話だったのだが、何だかんだで長期滞在してしまっている。
それでも一週夜に一度ぐらいのペースで付き合ってくれているし、彼女はがめついところもあるが、いい子なのだろう。
今日も彼女とこの街の付近の海を探索しに行く日で、そろそろ来る頃だ。
「さぁ、今日も探しに行くわよ!」
来た来た、今日も彼女はやけに気合いが入っている。
流石に7週の間何の成果も無しだと、やる気も減衰しそうなものだが、彼女のやる気と金銭欲は無尽蔵のようだ。
「今日はこの辺りを探しにいってみようと思うんだけど」
青い輪がいくつか書かれた地図を投影して、範囲を赤い線で囲う。
青い線で囲われた範囲は既に探索済みのエリアで、既に結構な範囲を探索していることがわかる。
「その辺はどんな感じの地形なの?」
ある程度は下調べもしているが、やはり地元民の彼女の話を聞いておいた方がいい。
「立ち入り禁止になってるぐらい危険な怪物がいる場所だね」
「そんなところに行って大丈夫なのかい?」
「なにあんた、あんたの目的の物は命を賭けるぐらいのものなんじゃないの?」
「僕は確かにそうなんだけど、君はいいのかなって」
「え?お金持ちになれる可能性があって、囮も連れていけるなら躊躇う理由無いでしょ」
「今囮って言った?」
「言ったけど、何?」
全く隠さないなぁ。
「流石に僕の命はどうでもいいっていう姿勢は隠してほしいかなぁって」
「ああ、あんたもそういうこと気にするのね」
「そりゃあ、人並みにはね」
意外そうな顔をされても困る。
「まぁ、それでも万が一の時は囮にすることは変わりないから」
変わらないのか。
つくづく自己利益のためにしか行動しない人だな。
財宝の情報を持っている僕を無下にはしないが、命の危機となれば躊躇なく切り捨ててくる訳か。
「あなたらしいですね」
「え、なに?こんな扱いされて怒るでもなく逆に笑うってなに?キモいんだけど」
「なんでもないよ、じゃあそろそろ行こうか」
「そろそろ、見つかってほしいんだけど。残ってる場所はだいたい危険な場所ばかりだし」
「できれば僕も死ぬ前に見つけたいなぁ」
こんな相方じゃあ、いつ死んでもおかしくないんだけど、いなかったらここに来る前に死んでいたし、危険になったら切り捨てるという姿勢がはっきりしている以上、ギリギリまでは協力してくれるのだろう。
そこは信用しても良さそうだ。
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