第65話:皇勇人Ⅴ〜幽都ぶらり旅〜
たまには日本の文化が懐かしくなり、日本人が集まっている都市へ行ってみようとやって来たのは【幽都】、死後の世界で幽霊の都だからと名付けられた名だそうだ。
名を聞いたときは儚げな京都の都みたいなイメージだったのだが、来てみて意外にも現代的、いや、少しだけ未来的な感じで驚いた。
でも、何故か有名チェーン店があったり、東京タワーがそびえ立っていたりして、異世界にいるという感覚がかなり鈍っていく。
いや、確かに町並みは東京のそれと同じなのだが、町の中にちょいちょい亜人が紛れているのは日本にはない光景だったが、アニメかなんかのイベントが行われていると考えればないことはないか。
周りで交わされている言葉は日本語だったり、共通語だったりして、ごちゃごちゃだが、まぁ、外人でごった返しているアキバと雰囲気は近いかもしれない。
まぁ、東京もアキバも行ったことはないんだけどな、住んでたのは名古屋の方だったし。
どっちもテレビでしか見たことがない。
久しぶりに日本の文化をとは思ったが、幽都に来て何をしようかとかは全く考えていなかったな、うーん、腹も減ったし、牛丼でも食べながら考えるか。元の世界ではブラックで有名だった、牛丼チェーン店に入る。
「店員さんってもしかして、生きてたときもこの店で働いてたんですか?」
ふと気になって、お店で働いていた人、見た目は幼く、7歳くらいの女性に話しかける。
「そうなんですよ、向こうの世界で会ったことある?こんな子供の時の姿を知ってる知り合いなんてそういないと思うんだけど」
「いや、知り合いではないんですけど、深夜バイト中に強盗に殺された人ですよね。
二年くらい前にニュースで見ましたよ、連日いろんな話がテレビで公開されてましたよ、アルバムとかもです、それで見覚えがあったんですよ、可愛い子だなぁって」
「えー、うそ、マジで?私が可愛いって?初めて言われたよそんなこと」
あ、そっちに反応しちゃうんだ。
「ていうか、よくそんなことがあったのにこの店で働き続けてますね」
「あは、心配ありがと、このお店は出してる商品こそ元の世界と同じだけど、運営形態は全然違うからさ、深夜に一人でお店番もないし、店員全員に物理攻撃耐性のアミュレットも支給されてるの、更に経験アリだからお給料もよくなるのよ、これはやるっきゃないじゃない?」
なるほど、そういうこともあるのか。
「そうだ、俺、この町に来たばっかりなんだけどオススメの観光スポットとかないかな?日本を感じられらるやつ」
「そうねー、ずっと住んでるとわからないのだけど、西の方には桜並木があったり、京都の町並みが再現されたところがあるのよ、あと、住むならこのサイトをチェックしておくといいよ」
その後も色々教えてもらった、しばらくは幽都に滞在するつもりだし、とりあえず名古屋っぽいところに行って、エビフライでも食べるかな。
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