正論

 正論がいつもいつも正しく運用されることはない。正論を笠に着て個人を攻撃したり、自身の論調に合わないものを否定するにも使われる。果たしてそれは正しい運用か?

 そもそもその正論を振りかざしている者が、正しく真実の使徒だと言えるのか?そんな者を俺は見たことがない。


 正論であれ暴論であれ、使用方法を間違った者は醜く見える。

 想像すれば分かると思うが、人を攻撃したり罵っている者の顔が、穏やかな天使の如き表情だと思うか?あり得ないだろう?


「これは正論であり、皆が望む言葉なんだ!俺はその代弁者!それを発表して何が悪い!」


 きっと正論を「振りかざしている」者の心境はそう言ったところだろう。一方で正しく、一方で暴力的だ。

 しかしそう言った者は、肝心な事を完全に忘れている。


 指摘された者が画面の向うに居り、少なからず傷ついている。


 と言う事だ。

 相手が自身の「正論」に合わない事をしたから、傷ついて当然なのか?

 相手は自分の「論調」や「意見」に合わないから、傷つこうがどうなろうが関係ないか?


 そんな創造力も無い者が「正論」など持ち出すな!と俺は云いたい。


 このカクヨムは決して人を非難し、蹴落とし、自分の王国を築く場所では無い。皆が楽しく、自由に、思い思いの作品を掲載し、それを読み、そして意見を言い合う場所だ。

 中には行き過ぎた行為を行う者もいるだろう。「ルール」をはき違えている者もいるかもしれない。しかしそれを糾弾し処罰するのは運営の仕事であって、決して一利用者の仕事では無い。


「それでもみんなが望んでいる事だ!多くの賛同者も得ている!」


 多くの者が望むなら、それこそ運営に報告して対応して貰えば良い。

 それとも誰かからそう言った依頼でも受けたのだろうか?そうでないのなら間違いなく自身の意思、もしくは趣味、もしくは楽しみでそれを行ったとしか考えられない。

 多くの者の賛同を得れれば何をしても良いと言う事ではないだろう。多くの者があなたに注目しているからこそ、確りとした規範を示して行動しなければならないのではないだろうか?


 今日俺は、誰かが誰かを攻撃して、一方が傷つき離れて行く様を初めて見た。

 吐き気がする程気持ちが悪かった。こんなに好きな「物を書く」と言う事で、誰かを喜ばすのではなく傷つける行為が、ここまで醜い物だとは思いもしなかった。

 

 攻撃した方はどんな気持ちだ?嬉しいか?楽しいか?多くの賛同を得て気分上々か?


 攻撃を受けた方はどんな気分だ?後悔しているのか?太刀打ち出来ず歯噛みしているのか?悔しくて夜も眠れないのか?


 俺には解らない。当事者同士でなければ解らない事だ。

 しかしこの「カクヨム」はまだサービス開始1年にも満たないサイトだ。混沌としていて仕方が無いのかもしれない。

 しかし願わくば、俺はそう言った物を見ずに済めばと願わずにはいられない。

 自分を鑑み、相手を思えば、それ程大きな問題などそうそう起こらない筈だと言うのが俺の見解だ。


 それでもそう言った事が起こると言うならば。


 せめて「正論」と言う言葉は使わないでもらいたい。

 あなたにとっての正論が、他者にとっての正論では無いのだから。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る