アイデア
アイデアが出ない……
アイデアが尽きた……
いいアイデアってどこかにないかな……浮かんでこないかな……
おめでたい発想だ。そんなに都合よく、ポンポンと浮かんで来るなら、間違いなくお前は天才だよ。
努力する事も無く、アイデアに事欠かない人を「天才」と称さなくて、一体どういった人を天才と称すのだろう。
だが、天才等、残念ながら世にあふれている訳では無い。
こう言ってしまっては言い過ぎかもしれないが、今小説を出版しているプロの作家でさえ、別に天才であるとは言えない。選ばれた一握りではあるけれども。
彼等は文章能力が高い事は間違いなく、その作品を見てくれた編集者と感性が合致したと言う運も持ち合わせている。
しかし何よりも、その作品を思いつく事が出来た、そのアイデアを作品に活かす事が出来たと言う事ではないだろうか。
別に今売り出し中の作家さんをディスっている訳では無い。俺だって今発売されている小説を購入している一読者なのだから。
―――閑話休題。
ともかくアイデア等、普通に考えてポンポンと湧いて来る物では無い。これは間違いない。
では、今まさにアイデアがない事で困っている場合、どうすれば良いのか。
―――実に簡単な事だ。
書き手なら一つや二つ、すでに書きあがった作品がある筈だ。
勿論その作品は、売れる売れない面白い面白くないに拘らず、完結している事だろう。アイデア云々を模索しているんだ。今手掛けている作品など無い筈だ。
では、その作品の主人公を変更し、もう一度一から制作してみろ。
例えば、
「俺はA。殺し屋家業だ。俺の後ろを付いて来るのはB。俺の助手と主張している」
この様な設定だとする。ではBを主人公にして、B目線で話を進めてみる。
もしくは、AとBを第三者視点で描く。所謂三人称だ。
そして、AとBのライバルに当たる者、もしくは敵役に使用しているキャラ目線で作り直す。
こうすれば、全部で4作品、同じストーリー・設定・世界観でも、全く違う作品のアイデアが出来上がった事になる。
「そう言うアイデアでは無く、全く違う話が書きたいんだよ」
贅沢な話だ。アイデアが出てこない、だから作品が書けない。
そんな屁理屈をこねている癖に、それでも何か新しい物を考え、作品執筆が進まない言い訳にしているのだ。
アイデア何て、ほんの一瞬、僅かな煌きの中に存在する。それに気を掛け、それをしっかり胸に刻み付ける事が出来れば、そこから広がる可能性を見出す事が出来る物だ。
今手元にメモ出来る物はあるのか?それを常に持ち歩いているのか?
「携帯のメモ機能に記録するから問題ない」
ならばそのメモ機能を広げて見ろ。さぞかし多くのメモがある筈だ。その中にはきっと、アイデアの素になる素材が眠っている筈だろ?
残念ながら携帯のメモ機能を、アイデアを書き留める為のツールとしている者が、プロの作家以外でどれほどいるか怪しい物だ。
頭で気付いた事をいざ書き留めようとすると、その過程の中で「いや、これは書かなくてもいいか」と結論付けてしまう者は少なくないんじゃないか?そうでないなら問題ないんだが。
人間の脳は、少なくとも「書く」と言う行為をすぐに忘れたりしない。
書いた内容を思い出さなくても、ペンを持ち、指を動かして書いた事自体は忘れない物だからだ。
上記に示した方法は、確かにその場しのぎに映るかもしれない。しかしそう悲観した物では無い。
作品を改めて見直す切っ掛けにならないか?書く事によって上がったスキルは、同じ作品でも別の表現方法を使う事によって、一味違う物に仕上がるかもしれない。
何より、書いている内に、本当に求めていた「アイデア」が閃くかもしれないだろ?
兎に角「アイデアが無い」なんて言葉は、あらゆる事をし尽くした者が言うべき言葉であって、足掻いてもいない者が言うべき言葉じゃないと言う事だ。
それでも「過去の作品何てどうでもいい。新しい作品が書きたい。その為のアイデアが欲しい」なんて考えているなら、
それは多分、書く事を諦めているんだ。
書きたくなるまで、執筆を休む事を勧める。
勿論それが元で、もう書く事は無いと言う可能性もあるけどな。
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