第2章 不規則なセイカツ 第7話 私だけ死ねば良いのに。

今思い出しても、最悪な自爆事故だった、。



アスファルトを四つん這いで50mは滑走した。


両掌と両膝の肉が少し削げた。


坂の最深部で私の滑走は止まり、、


私は道路の真ん中に仰向けに大の字になった。



なんだか可笑しかった。


あぁ、、、生きてて良かった。



しばらくしたら後続車が私に近づいてきた。


あ、、助けてくれたりするんだろうか?


多分、、立ち上がれるとは思うけど、、。



パパパパーパパァッ!!!パパパパァッ!!!

猛烈なクラクションと共に、


『邪魔だァッ!!!寝てんじゃねぇよっ!!クソガキが!!ゴラァッ!!!!』


と、怒鳴りつけられた。


意訳すると、


【あなたはそこにいてはいけない。

立ち上がりなさい若者よ、さぁ】


という叱咤激励と取れないことも無いことも無いか、、。


とにかく、酷い目にあって怖い目にあった、。


私は両掌両膝からダクダクと血を流しながら、もう動かず異音しかしないバイクを押して家に帰った。



、、生きてて良かった、、。



、、、、、、、、



その後は風呂に入るのもままならなかった。


1週間もすればだいぶ落ち着いたが、両掌両膝にとんでもないサイズのカサブタをつくり、捲ろうかどうしようかと端をカリカリしていた。


仕事には行ったが、暫くは出来るだけ家で過ごした。


その間に、色々なことを考えた。



そもそもニノの浮気が許しきれない。


その感情を知ってて浮気した私を許せない。


他の男と暮らしてたニノが許せない。


何も言わせずに逃げたニノが許せない。


ニノと別れて都合良くミーコと付き合おうとした私が許せない。



結論として、、私は許されるべきではない。


キモチガワルイ


もうすべてを清算したい。



どうせ最悪だ。


最悪にいこう。



ミーコに会おう。


会ってニノと二股してたことをぶちまけよう。


ミーコは傷つくだろうけど、私がスッキリすればいい。


ニノの様に逃げずにどんな苦言でも浴びよう。


もしかしたら、

ミーコもスッキリするかもしれない。



あーヤダヤダ、最低だ。


最も最も低い考えだ。



ミーコは何も悪く無いのに。


、、私だけ死ねば良いのに。



、、、、、、、、、、、



数日後、


私は、ミーコの家の前にいた。


♪♩♫


インターホンを鳴らす。



ミーコ『あ//久しぶりだね!!上がって上がって////』


私『、、、、』


私が何か答える前に、ミーコは部屋の奥へと行ってしまった。


私は、覚悟を決めてミーコの家に上がった。



ミーコ『座って座って//』


勧められるままソファに座り、出された紅茶を飲む。


ミーコ『久しぶりだね///元気してたかな??』


と、ご機嫌だ。


ミーコ『ワタシはね、寂しかったよ!

あ、でも、忙しかったから!

あっという間だったし、大丈夫だったよ!///』


私『、、そうか。』


ミーコ『でもやっぱり、寂しかったよ////』


と、言ってギューッと私を抱きしめてきた。


私の胸に顔を埋めて幸福そうなミーコを直視出来ず、真上を見ながらミーコの背に手を置いていた。



ッぷは!


『んーー』


ミーコが顔を上げてキスをしてきた。


私は少しだけ笑顔で、少しだけ困った顔で、

ミーコのキスを避けた。


私『コラコラ、、。チョット待ってね。』


ミーコ『、、ゔー。、、どしたの?』



私『、、うん、』



、、覚悟を決めろ!!



私『、、うん、、ミーコに伝えなきゃいけないことがあるんだ。』


ミーコ『、、なに?』



私『、、、うん』


ミーコ『、、なに?』



私『、、、うん、。

実はね、私はずっと前から何年も付き合ってる人がいたんだ。

だから、ミーコとは二股をしていたんだ、。』


ミーコ『、、、!』



私『、、その人は浮気をする人でね、、。

そんなのミーコに関係ないんだけど、、、。

、、最近別れたんだけど、、それだって相手の浮気が原因なんだ、。

、だから、今は、、ミーコだけなんだけど、、』



ミーコ『、、、、それで?』



私『、、私は、、自分が許せなくて、、、。

だから、、もう一緒にはいられない、。

こんなこと言ったらミーコが傷つくって

分かってるのに、、、。

でも、、私は、私のために、!

私がスッキリしたいだけのために、、!

全部ミーコにぶちまけてるだけだッ、、、!


、、本当に、、ゴメンなさい、、。』



ミーコ『、、、、』



私『、、、【信じてる】って言葉ってさ、、

本当に信じてる時には絶対に相手に言わない言葉だよね、、。

私だけが悪いのだけど、、それは、もうお互いに出来ないんだ、。

私が出来なくしてしまった、。

私は二股をかけていたことを、都合良く隠していられなかった、。

私が浮気をしたことで、私の信用が無くなるのは当然なんだけど、、、ミーコは、もう、、

浮気ってモノがリアルになってしまったから、。

【信じる】ってのが私の中でもミーコの中でも

もう嘘にしかならない、、。

もう、、お互いに完全に信じる事なんて出来ないから、、、。』



ミーコ『、、もういい』


私『、、本当にゴメン、、』


ミーコ『、、、もういい』



私『、、ミーコ、。』


ミーコ『ッもういい!!

って!、、言ってるでしょう!!

ワタシは貴方みたいなヒトのために、ッ!

絶対に泣いてなんかあげないんだがら゛ね゛ッ!!!!』


ミーコは、大泣きしながら精一杯胸を張ってそう言った。


私は、、なんて酷いことをしてしまったのだろう、、!と、いう想いと共に、


ミーコはなんていい女なんだろうと、不謹慎にも大泣きをするミーコに見惚れていた。



ミーコ『、、なんなのよぅ、、なんなのよぅ、、もぅ、、帰ってよぅ、、、ねぇ、、、』


ミーコはうなだれたまま、、私の服の袖を掴んだ。


私は、、ミーコを抱き締めていた、!


ミーコ『うわああああん、うわああああん、、、大好きなのぉ、、でも、、、もうダメなのぉ、、、ううぅ、、』



私は、あまりの想いに、堪らず、涙を流していた。



ミーコ『、、離してよぅ、。、、もぅ、、ダメなのにぃ、、、大好きだよぅ、、、うわああああん、、。』



本当に、、本当に、、最低だ、、私は、、


取り返しのつかないことをしてしまった、。


都合の良いこと言ってなんとかしようなんて、、もうまったく思えない、、。



ミーコが愛おしい、、。


だがそれ以上に、自分が許せない、、、!



私『、、帰るね、、、、、もう一緒にいられなくなってしまって、本当にゴメンなさい、、


、、、、ありがとう。』



ミーコ『、、、、、、』



私は、、ミーコに背を向けて、、家を出た、。



、、、、、、、、



少し歩いて、未練がましく、一度だけ振り向いた。



もちろん、、、誰もいない。



私達は、



私は、



1人になった。

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