ねぇちゃんと戦おう Act5
「やってくれぇっ!」
屋外から、そんな
「やるぞ! あさぎ!」
「うん!」
気合い十分なあさぎと共に俺は屋敷の奥へと走っていく。
俺達は、なるべく無傷でセイリの弟分をこちらに引き入れるつもりだった。
◆
「セイリ。いざとなったら、俺は君の弟分の血を吸うぞ?」
俺はセイリが屋外へと
当然、セイリは良い顔をしない。
「あいつも『お兄ちゃん』の眷属にするのか? 弟までほしかったとは驚きだ」
「真面目な話。俺が血を吸えば一番平和的に終わると思う」
これは、俺の本心だった。
しかし――
「それは平和的な解決なんかじゃない! 『お兄ちゃん』達、そしてあたしにとって都合の良いだけの解決策だ」
――そう言ってセイリは拒絶する。
「昴にも『お兄ちゃん』の眷属になれと言うのか? あいつの人生を捻じ曲げることをあたしに見過ごせって、あまつさえその手助けをさせようって言うのかっ!」
彼女は声を荒げて細腕を振るい、小さな拳を思い切り壁に叩きつけた。
「なら、どうする気だ?」
「昴なら今のあたしと年の頃は同じだ。一人でも戦える。『お兄ちゃん』達は手を出すな」
そう言って、セイリはキッと俺をにらみ付けながら拳を壁から離す。
彼女に叩きつけられた壁には、当然傷一つない。
俺には今のセイリがただの
「あいつは、あたしが追い返す。殺しも『お兄ちゃん』の弟にもさせない」
声に出された言葉は、彼女には荷が勝ちすぎているのではないだろうか?
だが、今のセイリには何を言っても共闘などできないだろう。
「なら、俺達で戦闘を二段階に分けよう」
だから『せめて』と思い俺は、そう提案した。
「まず、セイリが屋外でそいつと戦え。セイリが勝てばそこで終了だ。でも、もし殺されそうになったり、負けそうになったら奴を屋内に引き込め。そこで、俺とあさぎが決着をつける」
俺とセイリは互いを見据えて、しばらくの間沈黙の中に身を置く。
「わかった。あたしが勝てばいいんだな」
「ああ。けど忘れるなよ、セイリ。お前が危ないと思ったら、俺とあさぎは勝手に助けるぞ。そうなったらどうなっても文句は言わせない。俺は、俺達の親とは違う。身内になったお前を放り出すつもりも見殺しにするつもりもない」
「……それは『お兄ちゃん』なりの親への反抗か?」
彼女の一言は俺を挑発するようでもあり、たしなめるようにも聞こえた。
直後、セイリは「ふんっ」と、そっぽを向いてから「わかった」と了承する。
その姿が、まるでふてくされる妹そのものに思えて、俺は微笑ましかった。
「セイリ……言い方を変えるよ。もし、どうしようもなくなって、君が殺したくも、殺されたくもない時は、俺を頼れ」
「なんだよ急に……」
いぶかしそうに声を漏らすセイリに構わず、俺はまるで兄のように言葉を続けていく。
「難しく考えなくていい。君がもし彼と一緒に生きたくなったら、俺に言え」
そんな俺の言い分に、セイリは拍子抜けしたように耳を貸した。
しかし、こんなことを言うなんて、妹化の影響は彼女達だけにとどまらないのかも知れない。
俺は時折
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