ねぇちゃんと戦おう Act2

 ダイニングルームに戻ると、あさぎと史がソファでくつろいでいた。

 二人はまだ襲撃には気づいていないようで、俺はついほっとして気が抜ける。

 しかし、それも束の間だった。


「二人とも襲撃だ! 相手は言わなくてもわかるな? 幸い数が少ない。ここが襲撃されてないのもその裏付けになった」


 セイリの声に俺は緊張感を取り戻し、あさぎと史は顔が強張っていく。


「戦闘になる。あたしの武器はどこ?」

「ここ! ダイニングの棚の中に隠してます! す、すぐに出しますね!」


 史は少し上擦った声で返し、てきぱきと動き出した。

 するとセイリは「頼むね」と史に言い、ちらりとあさぎに目を遣る。


「あさぎ。あんたは戦える?」

「まぁ『兄ちゃん』を護ってあげないとだしね。『義妹』として……」


 そう言ってあさぎは静かに深呼吸をすると、きりっと目付きを変えた。


「それで、セイリさんは一緒に戦ってくれるの?」


 おどけた様子もなく、あさぎは真っ直ぐにセイリを見据える。

 俺も、質問の返答が気になり一緒になってセイリを見ていた。


「ああ、戦う」


 そして、迷いなく答えたセイリに、俺は嬉しくなると同時に戸惑った。

 だからつい「いいのか?」と問いかけてしまう。


「いい。今回はな」


 だが、セイリは少女の姿で凛として答えた。


「数が少ない。たぶん相手は一人だ。なら、殺さずに勝てるかもしれない」


 『殺さずに勝てる』そんな可能性をどこからか見出し、にやりと笑う少女。

 今、俺にとって彼女が『義妹』であることはこれ以上なく頼もしく思えた。

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