第22話 ベータ版のリリース

【前回までのあらすじ】


 グラフィッカ陣の大躍進で、画像関係については、もはや全く問題なく順調に進んでいた。訪れた平和の風を感じつつ、開発は進む……と思ったらプロジェクトデータが全部消えたっぽい。



【プロジェクトデータが消えた?】


 ある時、突然に事は起こりました。自分達はDropBoxでデータを共有しているワケですが、そこにあるべきプロジェクトのフォルダが存在しないのです。まさに「丸ごと」影も形も見当たりません。一体、何が起こったのでしょうか!? 自分は驚いて、すぐに開発チャットを覗きました。ですが、特に誰の発言もありません。まだ誰も気付いていない様子です。


 丹下「プロジェクトが丸ごと消えちゃったぞ!」


 ただそう言うしかない自分。すると丁度、オンラインだったあすかさんが反応しました。


 あすか「間違えて移動しちゃったから戻すね」


 いつかこの人に殺される予感がする(^ε^ )



【データ管理の重要性】


 さて、大袈裟に前フリしたワリには別になんら問題ないという事でして。あの、すんません。ふざけてるワケではなくて……。実は開発上で、非常に重要な話でもあるのです。上記の様な事は、実際に起こり得ます。実際に、当サークルでは何度かありました。


 それはヒューマンエラー、

 つまり間抜けなだけ(゚ε゚ )


 そう思うかもしれませんが、だとしても可能性がある以上は、考えておいて損はないと思うのです。


 使っている方ならご存知かと思いますが、DropBoxには「世代管理」の機能があります。簡単に言えば「前の状況に戻せる」という事で、例えば……。


 ・間違えてデータを消したけど復活させたい

 ・更新したデータを数世代前まで戻したい


 そういった事も可能です。ゆえに普段は、バックアップが必要ない感覚になったりします。が、それは孔明の罠なのです。


 こうして複数人で自由にデータを扱っている場合は「どの世代に戻せばいいのかわからない」という状況になる場合もあります。確実に遡っていけば大丈夫なのでしょうけれども、そうなると、その作業自体が非常に面倒だったりもするのです。複数のデータを戻す場合などは、特に気を遣います。これはハゲそうになります。すでにハゲですが。


 更に言えば、DropBoxのサービス自体が不調という時もありました。最近は滅多にないのですが、以前は「同期が異常に遅い」とか「同期自体が動かない」という事もあったのです。何事も過信してはいけない、という事ですね。(月並みな意見)


 そんなワケで、データのバックアップはやはり必要です。データをロストしない為には、誰かが管理をしなければなりません。「ゆるいゲーム開発部」の場合であれば、自分が定期的に全データをバックアップしています。とても重要度の高い作業と位置づけているのです。


 でも時々忘れます(゚ε゚ )



【ベータ版のリリース】


 そしてついに「反夏たんげ学園物語(ベータ版)」を公開しました。


 え、突然じゃね?

 どゆこと!?(゚ε゚;


 そう思われるかもしれません。ですが、開発ルールを変えて「ゆるいゲーム開発部」となって以降は、大きなトラブルもなく開発が進んだのです。実はそれ以前に、体験版やアルファ版もヒッソリとリリース済みでしたが、そのあたりは大したドラマも無かったのでスルーという事で……。


※ちなみに当時は「反夏たんげ学園」という当て字みたいなタイトルだったのですが、これは大人の都合的なモノです。ですが後ほど「読みにくいだけで意味ないよネ」という話になり、それ以降は「丹下学園」と正されてリリースされる事になります。


 サークルとしては「反夏学園物語(ベータ版)」で、3度のリリースを経験した事になります。リリースを重ねるたびに、格段にクオリティが高くなるのを実感しました。ただし、


 「元」が大した事ないという現実(^ε^ )


 ゆえにクオリティが格段に上がったところで、大した事のない作品です。ですが「完成する事」そして「リリースを経験する事」には、非常に大きな意味がありました。特に、組織開発に初参加の人にとっては、それが自信とモチベーションに繋がっている様子です。


 ふりーむ!様では、何やらコンテストを実施している様子だったのですが、当時の自分達は蚊帳の外でした。当然ですが、いきなりポッとゲームを提出したからといって、何か賞が貰えるワケもありません。ですが、お祭り的に参加するだけで十分に満足でした。


 さて、気になるダウンロード数ですが、1000をちょっと越える結果となりました。1000という数値はひとつの目標でもあったので、まずはクリア出来た事になります。突然に現れたサークルの作品としては、それで十分だと思いました。


 詐欺師にならずに済んだ……のかな?(゚ε゚;


 これで少しだけ、自分の肩の荷がおりた気がしました。ですが、ここがゴールではありません。最終版に向けて、まだ開発は続くのです。



【ボイスを求めて】


 ところで「ベータ版」と銘打っているのはナゼでしょうか? その理由は「次で完成版にしよう」という予定だった為です。最初から完成版だけリリースすればいいのですが、そうもいかない理由がありました。それは、主に下の2点です。


 ・よりクオリティを上げたい

 ・一部のルートについて、シナリオが間に合わなかった


 クオリティを一気に上げるのは、なかなかに難しいのです。当時はまだ、不慣れな部分もありましたので……。そこで、リリースを重ねつつ地道に良くする方式をとりました。当時はそれしか手段がなかった、という事ですね。まだ一部のルートについてはシナリオが未完の状態だった事もあり、正式版とする事が出来ませんでした。そこは今後、Fixさせる必要があります。


 なのですが。冷静に考えると、それだけの話ではない事に気付きました。正式版をリリースするとして、その問題点とは……?


 卍束「それってルートが増えるわけじゃないし微妙じゃないっすかね?」

 あすか「そうかも。また同じルートをプレイするだけじゃね~」


 つまり、最終版を作ったとしても「目玉」が何もないのです。未完のルートを完結させれば、作っている側の人間から見れば大きな変化です。ですが、既にベータ版をプレイした人から見れば、


 完成版? 別に何も変わってなさげじゃん?


つまり「特に変化がない」と判断されてしまうのは目に見えています。実際にプレイしてもらうに至らないのではないか?という懸念です。


 丹下「そしたら、あのルートを復活させる? 頑張って実装を……」

 くみろい「それはやめとこう」


 実はこの時点に至るまでに、くみろいさんのキャラをヒロインにしたルートがありました。でもナゼか、そのルートにシナリオ担当がついても、その度にバックレてしまい……その様子を見てきた彼の心は硬く閉ざされ、凍てついてしまったのです。


 という事ではなくて、単純に「なんかメンドクサイ」との事でした。ともかく、グラフィッカが望まないならばルート追加の件は無しです。そもそもシナリオ担当が不足しているので、いずれにせよ難しい状況なのです。


 卍束「ボイスの実装とかは……?」

 あすか「おお! いいね~やろうよ!」


 やらねえよ(^ε^ )


 ボイスにはお金がかかります。それは当時のサークルとしてはルール違反でした。そもそもフリーゲームでフルボイスなど、見た事がありません。悪ノリしている場合ではないのです、ここは現実的な案で固めるべきでしょう。


 卍束「いや、普通にあるっすよ?」


 え……?(゚ε゚ )


 時代は変わりました。自分はフリーゲームを一切プレイしないので、そんな事とは全く知らなかったのです。


 ちったぁ勉強しろよ(゚ε゚;


 と言われると返す言葉もないですが……。そんな流れがあって「ならばやってみよう」という事になりました。


 あすか「オラ、どのキャラを演じようかなぁ」

 丹下「マジで!? 声優経験あるんだ!?」

 あすか「いや、ないよ?」


 校庭に生えてる木のCVを頼む。

 セリフはないけどな(^ε^ )


 こうして「丹下学園物語」最終版を完成させる為に、ボイスコさんを探す事になるのです。ですが、それは茨の道でした。

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