第21話 新たなる来訪者
【前回までのあらすじ】
サークル規約が大幅に変更される事に。割り切る部分は思い切って割り切る形で、乱暴ではあるものの、それほど的外れでもない。と、思う。ような。気がする。どうなんだろう。正直、自信がなくなってきた。
そんな頼りない感じで「ゆるいゲーム開発部」というサークルのベースが生成された。
【新たなる来訪者】
少人数になったものの、開発は地味に続いています。自分は全ボツとなったシナリオを書き直しつつ、ひとときの平和を満喫していました。そんな時に、あるサークル参加希望者さんから連絡を頂いたのです。
話を伺うと、その人はグラフィッカー希望という事でした。ならば気軽な感じで手慣らしに、という事で……まずはmobキャラをお願いする事にしました。
それが「卍束」さんとの出会いでした。
話を伺った時の印象は、かなり控え目な雰囲気の人でした。あまり主張をせず「やらせて頂けるなら何でも」とさえ言ってくれるのです。こんなワケの分からないハゲのサークルに参加希望というだけでも不思議なのに……ありがたい事です。
さて、どんな絵を描く人なのでしょうか? 卍束さんは、とある「お絵かき掲示板」のアドレスを教えてくれました。結論から先に言うと……。
下手ではないけれど
微妙な気が……(゚ε゚ )
その頃になると、グラフィックの基準はあすかさん、そしてくみろいさんでした。その為、正直にいえば……卍束さんが教えてくれたアドレスにあった絵は、かなり見劣りして見えたのです。
サークルのゲーム開発状況については、常にHP上で告知していました。そこに画像も公開しています。もしかしたら卍束さんは、それを見ずに来てくれたのかもしれません。
などと思っていたのですが、その数日後。UPされた画像を見て驚いたのです。
ナニコレ!
すっげキレイじゃね!? Σ(゚ε゚ )
頼んだのはmobキャラでしたが、自分の想像とは全く違うレベルでクオリティが高い画像の数々。でも、おかしいです。だったら、以前に自分が見た画像。アレは何だったのでしょうか?
あすかさんの話によれば、あれはサイト上のドローツールを使って描いたものであって「あの状態であそこまで描けるのは飛びぬけてスゴイ事」なのだそうです。改めて見れば、なるほど確かにその通りの絵でした。
丹下「なるほどね~、そういう事かぁ」
あすか「うん、あえて言わなかったけどねー」
いや言ってくれよ(^ε^ )
こうしてグラフィッカが3人になりました。そして今後、この3人がグラフィッカの要となるのです。お互いが自然に渡り合えるレベル。サークルにとって、グラフィックに対する不安が消えた瞬間でした。皆が何の実績もないこのサークルに来てくれた理由は、今でもよく良くわかりません。これは奇跡的とさえ言える事だと思います。
お前らになら、命を預けられる……!Σd(゚ε゚ )
歓迎ムードの中で、自分は改めて挨拶をするのです。思えば自分は、名前を見た時からピンと来ていた気がします。
丹下「まんじたばさん、よろしく!」
卍束「まんじづかです」
名前、間違えてた(^ε^ )
【自由すぎる開発】
※今さらですが、当時開発していたのは「丹下学園物語」となります。これは「真・丹下学園物語」とは別モノで、その前身というべき作品です。さすがに今になって見ると、かなり見劣りする部分も目立ちます。
ところで、すっかり忘れていました。以前、やなぎーに頼んだ「小学生の少女」のmobはどうなったのでしょうか? かれこれ、もう1ヶ月以上が経過しました。もしかしたら、こちらから声をかけられるのを今か今かと待っているかもしれません。
やべえ、悪い事した(゚ε゚;
正直に言ってしまうと、つまりは「すっかり忘れていた」のです。急いでskypeで連絡してみました。
やなぎー「なんだっけ? わりぃ、忘れてたわ」
うん、薄々分かってた(^ε^ )
自分も忘れていたので強く言えません。まあmobですし、急いでいない事もあって、やなぎーからのデータをマッタリと待つ事にしました。そして2週間後……。
やなぎー「ああ、なんか面倒でさぁ。何もしてねえやハハハ」
お前はガキの頃から
何も変わらんな(^ε^ )
あんたこの前(No.13参照)偉そうな事を言ってたじゃねーか! コノヤロウ! 適当言いやがって!……とは思いましたが、こちらは頼んでいる側です。もう自分も大人ですし、ここは引き下がりましょう。ただし、そういう事ならコチラにも考えがあります。
丹下「じゃあ半月後にデータが来なかったら、そのmobの代わりにお前をゲーム上に登場させるから」
やなぎー「え? なにが? ああ、すぐ描くってぇ~」
自分の言葉の意味は、彼には伝わっていない様子でした。
その後、たしかに彼はデータをUPしてくれました。特に問題ありませんし、そのmobキャラはすぐに実装する事になるのです。これが主人公の妹「さくら」となります。
ですが……彼はわずかに、データの納品が遅かったのです。約束の期限をチョッピリ過ぎてから「さくら」のデータをUPしてくれました。その為、データを受け取る前に、既にサークル内は動き出していたのです。
あすか「こんな感じでいい?」
丹下「イイヨー! もっと適当でも良かったくらいさ」
あすかさんがキャラクターを描き起こしつつありました。そうです、彼をモデルとしたキャラクターの実装が進んでいました。これが「ノブ」となります。こうして彼はゲーム上に登場する事となったのです。
自由すぎる(^ε^ )
その頃から、このサークルには危険な香りが漂い始めます。そう書くと問題発生みたいな意味に思えますが、そうではありません。
誰かがふざけて描いた画像が採用されたり、ネタ的に考えたプロフィールが取り込まれたりと、何でもアリなストロングスタイルになってきました。思いつきを即座にスクリプトレベルで実装してしまうのです。そのノリは、ヒロインのキャラ立てをする時でさえ……。
あすか「こんな感じなんだけど……」
丹下「もっと胸を大きくしてみない?」
あすか「このくらいでいいのかな?」
丹下「ダイナミックにいこう!」
あすか「そんなに? いいのかな?」
丹下「もっともっと!(^ε^ )ははは」
ラフを眺めつつ、何度か修正してもらいます。そして30分後。
やべぇ、やり過ぎた!(゚ε゚;
こうしてヒロインの1人「
くみろいさんは既にヒロインの1人「
危険な男だ……(゚ε゚ )
卍束さんは、当初はmobを描いてくれていました。そこから、やがて準ヒロインである「
これも後で知った事なのですが、各自はその方面で仕事をしている人たちでした。こうなると、もはや絵に関して自分が口を出す必要すらありません。
おかしい、順調すぎる(゚ε゚;
当時、真剣にそう思ったくらいです。そんな平和な時間の中で、突然に事件は起こります。まさかの出来事、それは……プロジェクトデータが、丸ごと消えた!?
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