第14話 フェアである事の難しさ
【お願い】
「趣味でゲームを作るのってすごく大変なんだな」と誤解されてしまうとマズイと思うので……! そんなに大変だとか、嫌な事とかは今まで特に経験していないのです。
開発って楽しい! Σd(゚ε゚ )
自分はそう思っています。悪い人、恐い人に遭遇したり、何かしらの被害にあったりという事も今までありません。今も楽しんで活動している自分自身の存在が、その証明になると思うのです。ですから、このコラムの内容は全く深刻な話ではありませんし、ネタ的に楽しいモノ、気軽なモノとして読んで貰えたら嬉しいです。
【前回までのあらすじ】
「超謝罪ラッシュ」を発動して場を誤魔化す自分。でも何度も使えない大技だし、そのうち誰かがブチ切れそうです。
【規約には存在しないタブー】
やなぎーにmobキャラを1人頼むことで「関係者」という既成事実を作る事に成功しました。これで、もしもグラフィック関係がヤバイ状態になった時には、彼に泣きつき易いです。これが建設的な作戦なのか、ただの卑屈な策略なのかは、もはや
手前にも
わかりませぬ(^ε゚ )
そんな中で、いくつか事件が起こります。まず、一部のグラフィッカさんが自己判断で知り合いをサークルに加入させようとしたり。これは実現しなかったので問題ありません。
ああ、いいのいいの!
次からは会議の場で相談してネ! d(^ε^ )
次に、メンバーさんの中の1人が、開発中の生データを知り合いに丸ごと渡してしまいました。
え!? そ、それは……。Σ(゚ε゚;
いや、いいのいいの! 今後は気をつけてネ!
本音で言えば、これは非常にマズイ事です。ですが当人に悪気がない事もわかります。お友達に渡しただけですし、あえて追及すべきでないと判断しました。データを渡したからといって、何が起こるという事もないでしょう。ですが、本来であれば「致命的」と言えます。
生データを渡すという事は、つまり中身は丸見え状態という事です。画像もテキストもサウンドも、全て丸見え。これは大袈裟でなく「流出事故」と言えます。もしこの場が企業での開発であれば、自分は確実に責任を取らされているでしょう。
「フリーゲームごときで大袈裟な」と思うかもしれませんが、これはソフトの価格には無関係な話です。何より自分はオーナーとして、データを作ってくれている人の著作物を守る義務があります。
ですが「そういった行為はダメです」とまでは、あえて説明をしていませんでした。サークル規約上にも、さすがにそこまでは明記されていません。正直、その程度の話は開発上の常識であって、言うまでもなく全員が理解していると思い込んでいたのです。
誰が悪いかと言えばオーナーである自分であり、そこは自分自身、目を逸らさずに反省すべきです。この件を受けて、規約に事例を追加しました。
次に、グラフィッカの1人がサークルを離脱しました。
ああ、いいのいいの!
……って、どうした!? Σ(゚ε゚;
【フェアである事の難しさ】
人が辞めてしまう。辛い話題ではありますが、この手の話は、どの様なサークルであっても避けて通れない部分だと思います。詳細は割愛しますが、ひとことで言えばありがちな「メンバ間のトラブル」です。サークルとして、オーナーとして、つまり自分としては一切関与すべきではありません。
オーナーは中立の立場
この原則に従います。当事者のどちらの味方でもないですし、双方からのいかなる話も聞かないです。辞めたいと思うなら辞めるべきだし、どちらが良い・悪いを判断する必要さえないと自分は考えています。ゆえに、辞める人を引き止める事も一切しないです。
無償作業である以上、誰にも「辞める人を引き止める権利」はありません。ですが、そんな自分の対応について、一部のメンバーからは非難される事になりました。「責任者なのに冷たすぎる。引き止める言葉もないのか」という意見です。
そう言われても……(゚ε゚;
自分の感覚としては、普通に「何もない」です。これは理論的に考えた場合に「引き止める意味が無い」からなのです。実企業での経験則から、そう自分は考えています。その脳内フローを書き記してみると……。
・事前に相談があったか?(y/n)
「yes」
内容について真摯に耳を傾けた上で、問題を解消する為に尽力します。それがオーナーとして当然の姿勢だと思うのです。
「no」
特に引きとめる言葉はかけないです。というより、何も出来ません。その根拠としては、相談されないままに本人の意思決定が成された事が挙げられます。これは自分が相談するに値すると思われていなかった、つまり信頼されていなかった事の証明ですから、信頼していない人間から引き止められても、本人が思い留まる事はないのです。
くだらねえロジックだなあ、
人間はそんなに機械的じゃあ
ないんだぜ?
そう思う人もいるかと思います。もちろん自分も、この考え方が正しいと言い張るつもりなどないのです。自分がより良い対応を器用にできればいいのですが、それが出来ないのは「自分の能力的限界」であり、真摯に受け止めるしかありません。
去り行く人に対しては、引き止める言葉でなく「今までありがとう」を送るのが適切だと思うのです。
【覚悟の違い】
この件を受けて、自分は考えました。何というか、少々ふっきれた部分があります。人は、辞める時は思いのほかアッサリと辞めてしまうものです。ここは職場ではありませんし、生活がかかっているワケではありません。嫌なら即刻辞める、それが健全だと思ったりもしました。
そもそも各自は今、現在の気持ちとして「開発作業をしたい」と考えているのでしょうか? 人の気持ちは時間と共に変わるものですし、実は「もう興味が無くなってしまった」という人だっているかもしれません。開発開始から、既に数ヶ月が過ぎているのです。
そう思った自分は、暫定的に以下のルールを提案しました。
・毎月の月末に、自身がサークルへの在籍を希望する場合は、オーナーに在籍継続の「ひとことメール」をする(※現在はこの規約は存在しません)
これは「嫌になった場合は連絡不要で辞めてOK」という事です。「辞めます」という話は、日本人的にはなかなかに切り出しにくい部分があるかもしれません。それが原因で、つい惰性でサークルに在籍し続けてしまうならば、とても不健全であると考えたのです。
ごく当たり前の「基本」に立ち返って欲しい。「自身が希望しているから作業する」という事を、忘れてしまった人が多い様に思いました。無償活動ですから、何ら義務はありません。もし「やらされている」と少しでも思うならば、その人の中で「その活動は終わり」なのです。開発を続けたいかどうか? それは各自が、自分ひとりで判断する他ありません。
この考え方について、メンバーの中には疑問の声をあげる人もいました。例えば、以下の内容です。
そんなルールにして、もし人が辞めてしまった
場合はどうするのか? その人が担当していた
作業が途中、未完だったら?
それは自分にとって、ひどくズレた質問に感じました。「未完」だと「困る」? いや、自分が言いたいのはそういう事ではないのです。
辞めた人のデータは使わない
正確には「使えない」という事です。それは自分の感覚から言わせてもらえば当然の事で、他者の著作物を勝手に使う事など出来ません。規約上は「DropBox上にUPされた時点で、データはサークルに帰属する」と明記されています。ですが、それを逆手にとって「勝手に使っていい」などは当然、思わないのです。上記の規約は「既にデータを公に配布済みの場合は理論的に回収不可能だから許してネ」という意味でしかありません。
シンプルな話で、未完も何も全て「関係ない」のです。考えるまでも無く、離脱した人のデータは採用したくても出来ませんし、全ボツにする他ありません。ですが、その説明を聞いた皆の様子が変わりました。
なら、先日辞めた人が担当していたキャラは?
あのキャラをヒロインとして書き進めていた
シナリオだってあるのに!
それに対して自分が素直に思ったのは、
え? そうだけど、何か不都合なの?(゚ε゚;
ただそれだけです。自分としては考える余地もないというか、おおよそ以下の選択肢しか無い様に思います。
・新しく別キャラを立てる
・キャラ絵ナシで開発する
・そのルートを破棄する
もっとも「キャラ絵ナシで作る」となれば、それはシナリオ担当が気の毒過ぎます。自分は当然「新しく別キャラを立てる」案を提案しました。ですが当然、反論も出ます。
その理屈はおかしい、誰かが元のキャラを代筆するべきだ!
たしかに、それは妥当性のある意見です。となれば当然の流れで、自分としてはこう返します。
そう言って貰えると助かります! Σd(゚ε゚ )
では早速、お願いしてもいいですか?
すると、その場の皆が黙り込んでしまいました。でも、それは分かりきっていた事なのです。「誰かが代筆を~」と口にしている時点で結論が出ています。そこには「自分が~」という意識は存在しない。自分は意地悪な意味で言ったのではなく「意見を無視された」と誤解されるのは悲しいので、あえて理屈を返してみただけです。
自分は思います。状況を理解出来ていて、それでもまだ「誰か」と言うのであれば……根拠なく他者に期待を押し付けるのは、やめた方がいい。その感覚は、ものづくりをする上であまりにも「ぬる過ぎる」と思いました。自分は普通にそう考えてしまうのですが、仕事で感覚がスレてしまっているでしょうか……?
結局、代筆については誰も挙手しないままです。ならば代筆案はナシですし、それでいいと思いました。自分としても「中立」という立場上、口に出来なかったものの、代筆案は反対でした。
なぜなら、ココはグラフィッカの集団だからです。その気があれば、誰でも新キャラをデザインして描き起こせるはずなのです。ですが惜しい事に、ほんの僅かに足りません。それはスキルの事ではなく。
「覚悟」が足りない
誤解の無い様に書くのですが、それでいいと思います。相当にスキル的な余裕があるならともかく、普通の人は「無償でそこまでは出来ない」と感じる部分があって当然だと思うのです。それで問題ありませんし、自分としては全く心配していませんでした。
あすか「そしたら新キャラ描くか~」
あすかさんが、サラリと口にしました。特に驚きはありません。「この人は行動を起こせる」その確信が、自分にはあったからです。
ヨロシクよ(゚ε゚ )
自分のその一言で、話は終わりました。だったら話を引っ張るなよ! みたいな。
やがて事態は急展開を迎えます。プロジェクトを根本から叩き壊すほどの、大きな波がやって来るのです。
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