第5話 盛り上がる開発
【ご覧になっている皆様に……】
読んで下さっている皆様、ありがとうございます。自分が妙な畑の出身のため、話の内容や感覚には一般からズレている部分も多々あると思います。なので話半分という事で、
オモシロハゲ発見!(゚ε゚ )
そんな感覚で、楽しく読んで貰えたら嬉しいです。
【盛り上がる開発】
それから1週間ほどが経過したでしょうか。その間、なんと毎日の様に(!)皆様からデータがUPされ続ける状態でした。画像がどんどん増えていきます。何という熱意でしょうか。その状況を見て、他人事ながら安心しました。この開発はきっとスムーズに終わる。そう確信した程です。皆がこんなに頑張っている。ステキすぎるチームです。
We are not alone! Σd(゚ε゚ )
皆が同じ宇宙船地球号の仲間である事を実感しました。もし自分1人であれば、作業をとっくに投げ出しているはずです。いや、そもそも「趣味でゲームを作る」という発想自体が、自分には無かったワケですけれども。
それで生計を立てているせいか、自分としては、ゲームも業務システムも関係なく「ただの開発」としか感じないです。通常であればビジネスとして受注するだけで、そこには「楽しい」も「ツマラナイ」も存在しない。何の思いも介在しないのです。
そうやって、長い間過ごして来ました。そしていつの頃からか、「なぜ作るのか」という事さえも一切考えなくなっていたのです。
「仕事だから」作る。
感覚が麻痺している様にも思います。でもどんな業種であれ、仕事でやっている人間には、少なからずそういう部分があると思うのです。でも、そんな自分にも少しずつ、この作業の「魅力」が分かってきた。そんな気がしました。
なんだか楽しくね?(゚ε゚ )
まさに、そんな時期でした。日々、皆さんが一生懸命に描いた画像が増えていく。自分はただのお手伝いではありますが、気が付けば、開発が進んでいく様子を見るのが、日々の楽しみになっていました。
もちろん、見ているだけじゃないぜ! Σd(゚ε゚ )
自分の方は、簡易スクリプタを作り終えました。大袈裟に言えば「似非インタプリタ」といった所でしょうか。短時間で誰にでも作れる程度の簡単なプログラムです。速度を求められる処理ではないと思ったので、C#でアッサリと作りました。
要求仕様通りに作った結果、機能が非常に少なくなりました。トラジションやらエフェクトやらは一切ないですが「とにかく簡単に扱える」ただそれだけの存在。スクリプトエンジン「明日の為に Ver.0.01」が誕生した瞬間です。
ネーミングが適当すぎた(゚ε゚ )
ともかく、これでグラフィッカさん達が気軽にスクリプトを組める状況になりました。
【ちょっとした心配事も】
とはいえ、いくつか気になる点も出てきました。
1)グラフィッカごとに絵柄や水準の差が大きい
2)BG(背景)画像を誰も描きたがらない
1)については、各自の「持ち味」と言えますし、それはそれでOKだと思います。元々分かっていた事で、趣味の開発らしく「個性が出た方が面白い」とさえ思っていたのです。逆に考えるんだ「絵柄が違っちゃってもいいさ」と考えるんだ。
それよりも2)が厄介です。「グラフィッカには苦手な絵がない……」そんなふうに思っていた時期が、俺にもありました。
絵が描ける=背景が描ける
当時の自分は、そんな風に根拠なく思っていました。これは酷い勘違いです。というのも、仕事上でゲーム開発をした経験しかなかった自分としては、依頼内容について「苦手」と言われた事が無かったのです。でも現実には「背景が苦手」という人も非常に多いのです。
人間、得て不得手があって当然。自分にも苦手な言語がありますし、無理に記述したショボいソースコードは公開したくないものです。などと、ちょっとズレた事を思ったり。とにかく、こうなると
余裕のある人はBGも描いてみてネ!
という方針には意味がない事になります。そうではなく、いま少し「確度」の高い方針が必要です。
背景素材を使わせてもらえば良くね?
そう思う人がいるかもしれません。その通りなのです。ですが、いきなりその提案をするのは気が引けます。なぜなら、ここは「グラフィッカの集団」だからです。自分達の絵でゲームを作りたい、その「思い」が開発の発端となっているワケですから。自分達の専門分野なのに、いきなり「諦めよう」と提案するのはイカンと思いました。
さて、いくつかの「必須BG」については既にリストとして、まとめられつつありました。それらのBGを揃える方法について考えねばなりません。その為に、まずはお試しとして
各自で写真を持ち寄ってトレスに挑戦してみよう
という提案をしてみました。トレスという響きは、人によってはトレパクを連想するかもしれません。ですがそういう事ではなく、トレスはグラフィッカとしては非常に重要な技術であって、業務上では必須となります。
って、いかん。ここは職場じゃなかった(゚ε゚;
これでBGのメドがつかないならば、技術的な限界点という事です。その場合は無理せずに素材サイト様に頼ろう!という話にしてみました。いきなり諦めないで、まずは挑戦してみるという方針ですね。
ここであすかさんの登場です。写真をトレスするまでもなく、既に数枚のBGを描いていた様子です。背景は苦手と言っていたはずなのに……! あすかさんの技術は、その場のメンバーの中では飛び抜けていました。なおかつ「自分がどうにかしなければならない!」という強い意思を持っている様に感じました。
でもそのワリには、俺には
無茶ぶりが多いよネ?(゚ε゚ )
能動的に動ける人が1人でもいると、組織開発上は非常に強いです。集団全体の士気の向上に繋がります。もちろん、他の皆も頑張っていました。いきなり「BGが全て揃った!」とはいきませんが、少しずつ希望が持てる状態になっていったのです。
【基礎データ】
そういえば、キャラの表情差分については未着手でした。そこで、最低限の表情として、以下をあすかさんに提案する事に。キャラはバストアップとして、可能であれば全身を用意してもらう。その上で、
・通常
・笑顔
・怒り
・悲しみ
・泣き
・照れ
といった表情差分を用意してもらえればいいワケです。これらの「キャラクタデータ」一式について、その後は便宜上「基礎データ」と呼ぶ事にしました。基礎データを切り替えて画面上に表示する事で、キャラの表情やポーズが変化するというワケです。
これは余談ですが、バストアップについては、あまり凝ったポーズにしない方が無難です。せっかく描くのに、それでは味気ないと思うかもしれません。が、実際のゲーム上に登場した時に
この人、何でヘンなポーズしてるの?(゚ε゚ )
という状況になってしまう場合も多いのです。そのキャラ単体ではなく、BGや他キャラと同時に表示される事になりますので、余計に引き立つというか……。なので、ポーズに悩んだ時は「普通に立っているだけの姿勢」にするのが無難だと思います。
あすか「目パチとかは?」
あすかさんは楽しそうに話しています。さすがグラフィッカです。が、目パチ等の処理はエンジンに実装していないです。
あすか「あ、出来ないの? ふ~ん。まあいいや」
丹下「申し訳ございません……」
この人には、お味噌汁を持った瞬間に
手が滑る呪いをかけておこう(^ε^ )
要求仕様には全く存在しない機能を後出しでサラッと指摘されるのは、ちょっぴりイラッとします。以前から薄々気付いていた事ですが、あすかさんはプログラマから嫌われるタイプの様です。などとネタ的にふざけて書いていますが、あすかさんは普通に気のいい人です。グラフィッカを取りまとめてくれている様子でした。
ここまでは特に問題なく、順調に進んでいました。なのですが……少しずつ、メンバー間で「小さな意見の衝突」も見え隠れする様になりつつありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます