第7話
約束の日曜日。
柄にもなく洋服選びに時間をかけ、待ち合わせ時間の10分前に駅前に到着した。
なんといっても今日は真白さんとデート。しかもあの人から誘ってくれたということにウキウキ気分は最高潮だった。
先程から何度も何度もスマホの時計ばかり見てしまう。
「あの~すいません」
「はい!」
真白さん、かと思って振り向いてみたが違い一気にテンションが下がる。話しかけてきたのは女子大生っぽい二人組だった。
「なんでしょうか」
「あの、今お時間ありますか?良かったら一緒に・・・」
「すいませんが先約があるので他を当たって下さい」
そう言いながらにっこりと微笑むと、二人組はおずおずと去っていった。
「ほぅ、イケメンというのは随分モテるんだな」
「ま、真白さんっ!いつから?!」
気がつくと真白さんが涼しい顔で隣に佇んでいた。
「お前が作り笑顔で断るとこから」
「もー、いたんなら声かけて下さいよ」
「無駄にイケメンだと困るな」
「からかわないで下さい」
今日の真白さんはいつものスーツではなく、ポロシャツにチノパンというラフな格好だ。初めて見る自分に頬が緩む。これは絶対32歳には見えない、よくて大学生だ。
「休みなのに悪かったな、付き合わせて」
「いえ、どうせ暇なんで」
僕たちは駅とは反対方向に向かって歩き出した。今まで女の子とのデートは普通にしてきたけど、こんなウキウキしてるのは初めてだ。多分側から見たら僕の表情は相当緩みきってるに違いない。
「藤堂」
「はい!」
「さっきからジロジロ見過ぎだ」
しまった!浮かれ過ぎて真白さんを無意識にガン見してた。
「すいませんっ」
「ふっ、ばーか」
やばいやばいやばい。たまに見せてくれる笑顔の破壊力が半端ない。この人僕を殺す気だろうか。
他愛もない話をしながら暫く歩くと、僕たちは小さなビルの前で足を止めた。
「・・・ここは?」
「俺の恩師が今ここで個展を開いてる。来たい来たいと思っていたが仕事が立て込んでて結局最終日の今日になってしまった」
真白さんの恩師・・・ってことは昔の真白さんを知ってる訳だよな。当たり前だけど凄く気になる。きっと昔から可愛かったに違いない。
ビルに入ると受付の女の人に個展のパンフレットを貰った。パンフレットには黒桐 幽玄個展という文字と、優しそうな表情をした50歳くらいの男性の写真が載っていた。恐らくこの黒桐さんが恩師なんだろう。
真白さんの後に続きギャラリーに入る。そこには客が引いた後なのか僕たち以外の客はいなかった。
なんというか、真白さんとは間逆で人物をテーマにした作品が多い。心があったかくなるような、優しい作品。
真白さんはどっちかというとスタイリッシュで洗練されているデザインが多いのだ。
「新君?」
すると奥から先ほどのパンフレットと似た人物が現れた。真白さんの方を見る目がとても優しく、なんというか愛おしそうな眼差しをしている。
その姿にこの人が真白さんの恩師なんだとすぐに分かった。
「黒桐先生、ご無沙汰してます」
「来てくれたんだね、ありがとう」
そう言いながらすぐ側まで来ると、彼はぎゅっと真白さんを抱きしめた。目の前で起きている出来事に思わず目が点になる。
僕が何も言えないでいると、黒桐さんの視線はこちらを向いた。
「黒桐です、初めまして」
「・・・藤堂です」
「新君が誰かと一緒に来るなんて珍しいね。いつも仕事の評判は聞いているよ。順調そうで何よりだ」
「そんなことないです、僕なんてまだまだですから」
目の前の真白さんは僕が見たことのない表情をしている。これは信頼しきっている顔だ。
この人はただの恩師なのだろうか。
本当は昔二人の間に何かあったんじゃないか?むしろ現在進行中なのでは・・・そんなことばかりが頭を支配していく。
「それじゃあ楽しんでね、また食事でもしよう」
「はい、もちろんです」
「藤堂さんも今日はありがとう」
「い、いえ」
黒桐さんが立ち去った後も僕の胸の中はモヤモヤとしたどす黒いものに支配されていた。
もしかして真白さんは僕を諦めさせる為にここに連れてきたのではないだろうか。いや、真白さんのことだから本当に嫌ならストレートに言ってくるはずだ。
考えれば考える程ドツボにはまっていく。
「・・・真白さん新君って呼ばれてるんですね」
僕の言葉に真白さんはかぁーっと顔を赤らめた。その反応に僕の中の理性が崩れ去る。
人目もはばからず真白さんの腕を掴むとそのままビルを後にした。
「とおど・・・っ、はぁっ、んっ」
手を引いたまま近くにあったホテルに入り、すぐ様唇を奪った。真白さんは何が起きてるのかわからない様で、必死に僕の舌を受け入れている。
片手で彼のチノパンを下ろし、反応しかけているモノをやわやわと摩っていく。こうされることを期待していたのか、直ぐに下着が濡れる程真白さんのペニスは固くなった。
「んんっ!んっ」
乱暴に下着を剥ぎ取るとそのままベッドに押し倒した。
「藤堂っ!待てっ!なんで急にっ」
「あの人と何回くらいしましたか?」
「・・・は?なんのことだ?」
ベッド脇に備え付けられたローションを手に取り、真白さんの下半身に垂らしていく。
「ひぁっ!」
「名前で呼ばれて嬉しそうな顔して。そんなにあの人のこと好きなんですか?」
「ち、ちがっ!」
ぬぷっという音をたてて後孔に指を挿れていく。真白さんは拒む様子も見せずに、ただされるがままだ。
ぬぷっじゅぶじゅぶじゅぶっ
「昨日散々慣らしたんで流石にすぐ解れるもんですね。あの人にもこんな風に弄られてたんですか?」
「やっ、ちがっ!あぁっ!あっ、あっ!」
じゅぽっじゅぽっじゅぽっじゅぽっ
3本に増やした指で前立腺をゴリゴリと摩ると、あっという間にペニスは先走りでぐちょぐちょになった。余程の快感なのか触れたら今にも射精してしまいそうなくらいに反り返っている。
「そこばっかぁっ!あぁっ!らめぇっ!あっあっあっ」
あえて性器は触らず後ろだけを執拗に攻める。
真白さんが他の奴に犯されるのを想像するだけで黒い感情に支配されていく。自分はこんなに嫉妬深い奴だっただろうか。
「あの人のちんこもここで咥えてたんですか?」
「はぁっんっ、せんせとはっ!なにもっないからぁっ!あぁっ、こんなのっ、とおどっとだけっ!あぁっ!」
「じゃあなんで名前呼ばれてあんな顔を赤くしてたんです?」
「あぁっ!あっ、それはっ・・・お前がっ!んあっ!俺の名前・・・よぶからぁっ!あぁっ」
その言葉に今までの嫉妬が一気に引いていく。黒桐さんに名前呼ばれたからじゃなくて僕が呼んだからあんな表情に?
どうやら勝手に一人で勘違いをしていたらしい。我に帰ると恥ずかしさと申し訳なさにいたたまれなくなった。
真白さんの後孔からぬぷんっと指を引き抜くと、彼は肩で息をしながら不安そうな顔でこちらを見た。
「すいません俺・・・勘違いしてました」
「はぁっ、はぁ、俺もちゃんと・・・っ言わなかったからっ、はぁ・・・っ」
散々弄られ寸止めされているからか、真白さんの瞳は潤み頬は紅潮している。
「あの・・・っ、俺」
「しないのか?」
その誘うような妖艶な瞳に体中が沸騰したように熱くなる。急いでジーンズを脱ぎ捨て、既にガチガチに硬くなったモノを真白さんのお尻にあてがった。
「真白さん、いやだったらちゃんと拒絶して下さい」
「・・・誰がイヤだと言った?」
「・・・っく、もう優しくなんて出来ないですよ!」
そのまま一気に腰を沈める。
ぬぷぷっ、ずちゅんっずちゅんっずちゅんっ
「あぁっ!あっ、ふか・・・ッあぁっん!」
真白さんの細腰を掴み奥までゴリゴリと打ち付ける。動くたびに真白さんの口からは悩ましい嬌声が溢れた。
「あっあっあっあっ!すごっ、おくぅっ!あぁぁっ!あっんっ!」
律動を続けながら胸の突起を摘んだり転がしたりすれば、中が締め付けは一層強くなった。
「やぁっ!乳首ぃ・・・っ!ひぁっんっ!あっあぁっ!」
「真白さんっ、気持ちいっ?」
「とおど・・・っ!きもちっ、あぁっ、すごいっ、あぁぁっ!擦って!ちんこさわってぇっ!」
先端からだらしなく汁を垂らしているペニスを強めにじゅぷじゅぷと擦っていく。
「あぁぁぁぁっ!らめぇっ、きもちぃっよぉあぁっ、おしりもちんこもぉっ!ひぁんっ!でるっ!でちゃうぅっ!」
「可愛すぎですよっ、中だしますからねっ」
高速ピストンしながら一際奥に打ち付けると、甲高い嬌声と共に真白さんのペニスからびゅるるっと精液が飛んだ。
中をびくんっびくんと痙攣され、釣られるように俺も中に精液を注ぎ込む。
「ん・・・っ」
「はぁぁぁっ!なかっ、いっぱいぃっ」
「真白さん俺の子孕んじゃえばいいのに」
思わず本音がぽろりと漏れ、しまったと思った。さすがにそれは重すぎるだろ。
黙ったままの俺の頬に真白さんは優しく触れた。
「ばぁか。そんなことしなくても逃げねぇよ」
「え・・・・・」
「ったく、強気なんだか弱気なんだかわからん奴だな。・・・お前のものになってやるって言ってんだよ」
それは真白さんから聞く初めての答えだった。
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