第5話
翌日、頭の痛さに目が覚めた。まだ頭がぼーっとしている。
徐々に覚醒していく意識の中で少しずつ昨日の出来事がフラッシュバックしていく。
「そうだ、真白さん!」
慌てて隣を見ると、真白さんは未だ瞳を閉じたまますやすやと眠っていた。白いシーツに天使の様な寝顔をした裸の真白さん・・・この破壊力は凄まじい。今すぐにでも犯してしまいたい。
そんな物騒な願望をしまいこみ、サラサラとした髪を撫でる。っていうか帰られてなくて良かった。
「人の寝顔を黙って見てるなんていい趣味してるな」
「えっ!ちょっ、起きてるなら言って下さいよ!」
「今起きたんだ」
「お、おはようございます」
簡単な朝ごはんを作ると、真白さんはそれを黙って食べてくれた。まるで昨日のことがなかったかのように全く態度は変わらない。
「ちょっと待って下さいっ!」
「遅い」
「もー!戸締りする間くらい待っててくれてもいいのに」
こうして一緒に通勤するなんて同棲してるみたい、なんて考える僕の脳みそはお花畑なんだろうか。
そういえば結局昨日の返事は貰えず終いだった。いや、それ以上のことはしてしまったのだけど。もしかして真白さんはこのまま何もなかったことにしようとしているのだろうか?いや、それ以前にこうして普通に接してくれることを感謝するべきなのか。
なんかあまりにも真白さんの態度が普通過ぎて、昨日のことは酔っ払って夢を見てたんじゃないかと思えてきた。
「おい」
「あっ、はいっ!」
「ケツが痛い」
「え・・・っ、あ、すいません」
夢、ではなさそうだ。
「まさか男に犯される日が来るとは思ってもみなかったな」
「すいません・・・」
「おい、昨日言ってたのは本当なのか」
「もちろん本当ですっ!本当に好きです!」
言ってからここが外だということを思い出し、慌てて口を押さえる。真白さんはしばらく黙っていたが、その答えに満足そうに笑った。
「日曜日、駅前に朝10時に来い」
「へ・・・っ?」
「1分でも遅れたら帰るからな」
これはもしかして少しでも可能性があるということなんだろうか。先程の絶望から一転、途端に頬が緩んでいく。
「はいっ!」
どうやらこの恋はまだまだ希望を捨てなくても良いみたいだ。
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