夏みかんゼリー
5月になった。ゼリーの季節だ。
初夏の日差しに照らされて、てらてらと気持ちよく光る。
昼下がりの、ゆっくり流れるこの時間。
庭に出て、緑の芝生を眺めながらボーっとスプーンを口に運ぶ。
開きすぎたチューリップと、どこからか降ってくる鳥の声。
だんだんとバラのつぼみが膨らんできて、その内の2・3株は今、見頃を迎えてる。
濃い緑と、色とりどりの花と、鳥の声と。
優しくそよぐ風の中で、木漏れ日にぽっかりアタマを空にする。
ここに新たなピースをはめるなら、夏みかんゼリーが良い。
透明のゼリーの中に、シロップ漬けのみかんがプカプカと浮かんでるやつ。
掬えばキラキラと楽しげに揺れ、ゼリーを透過した光がスプーンに反射する。
口に広がる落ち着きのない食感と、安心を与えてくれるみかんの実。
かすかに感じる夏の風味が、軽やかなこの季節にぴったりだ。
芝に映ったゼリーの影に、夏が待ち遠しくなった。
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