第104話

 三郎太の目が開いた。

 ゆっくりと寝椅子から起き上がる。

 いま、総てが明かされていた。

 水虎の神像はこの星に設置された統御機構の一つなのだ。三郎太の記憶が蘇ったのは、〈御門〉が潜む〈御舟〉から離れ、外部に出てきたからなのだ。

 寝椅子から叫ぶ。

「統御機構開放!」

 もはや河童の三郎太の人格は存在せず、今や宇宙軍情報部の上野三郎太少佐として命令している。

 がくん、と寝椅子の形が変化し、壁から操作盤コンソール画像装置モニターが飛び出した。三郎太は両手を操作盤の鍵盤キーボードに伸ばし、次々と打鍵キーを押していく。画像装置が明るくなり、様々な情報を表示し始めた。

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