第59話
五
大極殿の大広間に、関白は平伏していた。
だだっ広い広間に、いるのは関白が
……!
空間をある一つの感情が支配していた。それは、激烈な怒りであった。
怒りには、詰問が添えられている。
「そ、それは……麻呂には、とんと判りかねます。なぜ諸国の領主が勝手な振る舞いをするようになったか……麻呂には、まるで見当も……」
……?
はっ、と関白は慌てて額を床に打ち付けた。その勢いで「こん」という乾いた音が響く。「はあ……〈御舟〉の記録と、
……%*$&~#!
衝撃が、関白の全身を貫いた。
びくっ、と全身を硬直させ、冷たい床に這いつくばる。ひく、ひくと手足を力なく痙攣させた。
「お許しを……お許しを……!」
同じ言葉を何度と無く繰り返す。
床に関白の身体を中心として、薄黄色い染みと、鼻を突く悪臭が広がっていく。
関白は、失禁していた。
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